おいしい蕎麦の産地ランキング そばは産地や品種で味が変わります 在来種と改良品種/蕎麦鑑定士運営委員会

日本蕎麦保存会
●おいしさ日本一の蕎麦の産地はどこ? 蕎麦は産地や品種により、味が違います。産地ごとの味の特徴も解説します。
●「片山虎之介と50人の蕎麦鑑定士が選ぶ、おいしいそば産地大賞 2020」(ただいま審査進行中)
●1月26日と29日に東京・南青山で行う「蕎麦鑑定士」の「食味体験会」は、同時に「おいしいそば産地大賞2020」の鑑定会でもあります。日本全国から集まった蕎麦鑑定士のみなさんが、各産地のそばを実食して、点数をつけます。
●そばの食味鑑定が終了後、おいしいそば産地ベスト8を「日本蕎麦保存会jp」で発表します。

こだわりの蕎麦屋さんの店頭に「本日のそば産地は●●●です」などと書いた張り紙を見かけることがあります。
いったい、どこの産地のそばが、いちばんおいしいのでしょう。
日本各地には、たくさんのそば産地があります。
それぞれの産地は、気候も畑の土の状態も違い、栽培しているソバの品種も異なるため、収穫されるそばの味に大きな違いがあります。
ここでは産地ごとのそばの「おいしさ」に注目して調べました。
そばという作物は、その年の天候によっても、味、生産量ともに、大きく変動します。
そうした情報も加えながら、今年流通するそばの、日本一おいしいそば産地は、どこなのかを検証します。
そば産地の最新情報が、ここにあります。

 

審査、鑑定するのは、片山虎之介と、50人の蕎麦鑑定士たち。おいしいそばとは何かを熟知した審査員が、実食して食べ比べ、その味を鑑定します。
プロのそば屋さんも、そば好きのみなさんも、この「そば産地、おいしさ鑑定ランキング」を参考にしながら、次に仕入れるそば、明日、行く蕎麦屋さんを選んでください。

 

蕎麦鑑定士運営委員会 委員長/片山虎之介

 

 

 

《おいしいそばの名産地、実食鑑定ランキング》

 

【福井在来】(福井県)

福井県は「在来種そば王国」の別名がある産地で、県レベルの規模で在来種を大切に守っている産地は、福井県だけです。

それだけ、在来種のそばについて、深い知識があり、その栽培方法や、取り扱い方、製粉の方法についても、受け継がれてきた伝統技術があります。

小粒の在来種の扱いを熟知している産地は、福井県が代表格です。

 

福井では、たくさんの量をとることよりも、おいしいそばを作ることに、力を注いでいます。だから「量よりも味」の品種である、在来種にこだわっているのです。

 

県内には、いくつもの優れた産地が点在していて、代表的なソバは、勝山在来、丸岡在来、今庄在来、大野在来など。産地ごとに個性が異なり、土地土地の食文化も、そばの個性を生かす形で発展してきました。

それぞれの産地で、その地域の蕎麦の味を楽しむことができます。

2020年度、福井県産、在来種の食味は、甘みがしっかりのっています。

粒そのものが小粒なので、でんぷんの割合は、多くはないのですが、全粒粉でそば切りに打って食べたときの、追いかけるように強くなっていく甘さは、福井県産ならではのもの。2020年度も、その特徴が、はっきりあらわれています。

また、打つときの粘りの強さも、期待以上でした。水ごねで、こねていると、粘りが強く出てきて、木鉢が持ち上がってしまうほどです。この粘りが、つながるか、つながらないかといった難しい条件での仕上がりに、差をつけます。

中粒、大粒よりも、小粒の実のほうが、こうした傾向は強いのですが、小粒はちょっと扱いが難しいので、慣れない人は、中粒、大粒を使うことを、おすすめします。

まだ、今の時期は、新そばなので、あまり強い主張はしていません。それでも十分に、香りと味と、つながりの良さは、確認できました。

他の地域の在来と比べても、頭一つ抜きん出ているという印象を受けました。

 

そばを評価する際、色についても、良いとか、悪いとか言われますが、そば(麺)の色は、収穫した実の色が、そのまま反映されるわけではありません。製粉の方法や、麺の作り方などによって、どのようにでもコントロールできるものなのです。

そば(麺)の色は、そば産地の話から、次のステップに進んだときの問題ですので、ここでは評価の対象にはしていません。

 

2020年度は、福井県産の在来種が、まずは、おすすめです。

台風の影響で収穫量は、かなり落ち込んだので、どこかのそば屋さんで「本日のそば、福井在来」と書いた貼り紙があったら、迷わず、のれんをくぐってください。

その蕎麦屋さんの腕が確かなら、最上級のそばが食べられるはずです。

 

 

【常陸秋そば】(茨城県)

茨城県のそばといえば、常陸(ひたち)秋そばが有名です。

常陸秋そばは、改良品種の傑作です。現在、最も高値で取引されているのが、このそばです。

常陸秋そばの名前を聞くと、そば好きな人なら、ちょっと目の色が変わります。

それだけ、おいしさに定評があるのです。

常陸秋そばがおいしいのは、この地域に「赤土村」という地名があったことからもわかるように、ソバの栽培に適した赤土の畑で栽培されることが、大きく影響しています。

赤土の土壌は、水はけが良いので、そば栽培に適しているのですが、実はタバコも、同じように水はけの良い畑を好むのです。

だから、おいしいタバコが育つ地域で栽培すると、そばも、おいしくなるのです。

 

水戸は昔、水府と呼ばれていました。この地で産する水府タバコのおいしさは、江戸をはじめ、京、大阪など、上方でも高く評価されていました。

地域の特産品であったタバコの後作として栽培されたのが、そばだったのです。

タバコを収穫したあとの畑にソバを撒くと、タバコの肥料の残りがソバには、ちょうど良い栄養となり、丸くふくらんだ実の、良質なソバができるのです。

赤土、タバコ、ソバ。この三点セットが、おいしいそばを作り出します。

 

この土地で長い間、栽培され続けてきた在来種(金砂郷在来)を親として、選抜して作り出したのが、常陸秋そば。昭和62年に品種登録されました。おいしいソバには、おいしくなる理由が、必ずあるのです。

 

2020年度、今年流通する常陸秋そばは、やはり台風などの影響を受け、収量はあがりませんでした。

しかし、そばを打ったときのつながりの良さは、改良品種にしては抜群の成績でした。

食味も、落ち着いた甘みと香りを備え、上品なそばを打つには好適な材料です。

ある程度の水準の、そば打ち技術を持った人なら、誰が打っても打ちやすく、失敗が少なく、おいしいそばになります。

2020年度も、常陸秋そばのブランド名に恥じない、みんなが憧れるそばになっています。

 

 

 

 

【八尾在来】(富山県)

富山市の八尾(やつお)地区は、かつては八尾町と呼ばれる小さな町でした。この地域は、「おわら風の盆」で知られ、毎年、9月には、人口を上回る観光客が訪れます。

この八尾で、守られてきたソバが、八尾在来。在来種の特徴を備えた、小粒なソバです。

幸いなことに、交雑も進んでいません。

北陸地方は、近年、雨の被害が多くなっていて、それが生産者の悩みの種です。

 

今回、ソバの鑑定にピックアップした八尾在来は、化学肥料は基本的に使わず、緑肥と有機肥料で育てたもの。また害虫駆除は、農薬は使わず、フェロモントラップで害虫を捕獲するエコファーマー認定の栽培方法で作付けしたソバでした。

水分含有量は以下の通り。
玄蕎麦 16%(生産者の仕上げ目標)
丸抜き14.2%

 

鑑定の結果ですが、2020年、今年流通する八尾在来は、味は秀逸。在来種の持ち味を、しっかり備えた、魅力的なそばになっています。

新そばの早い段階から、比較的味を出しやすいそばだと感じました。

ソバにとってストレスの少ない栽培方法を選択していることと、黒化率をあげて刈っているためでしょうか、でんぷんに十分に味がのっています。

 

今回、鑑定した中では、福井在来、常陸秋そばに続いて、3番目という結果になりましたが、香りと味は、まだこれから変化するので、さらに良くなる可能性があり、期待できるそば産地です。

 

八尾における生産量は極めて少ないので、町のそば屋さんでは、めったにその名前を耳にすることはありませんが、八尾在来の名前をみつけたら、一度は食べてみたいそばです。

在来種のそばは、取り扱いに、高度な技術を必要とするので、味を引き出すのは、簡単ではありません。しかし八尾在来を入手して、店で提供するようなそば屋さんなら、おそらく腕も確かでしょう。

千載一遇のチャンスを逃さず、必ず、味わってください。

 

●なお、以上、三ヶ所の産地のそばは、1月26日、29日の、蕎麦鑑定士の食味体験会で、試食していただきます。
ご希望の方は、蕎麦鑑定士食味体験会に、お申し込みください。

 

 

 

日本蕎麦保存会
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