蕎麦旬菜こすげ (長野県長野市) 緑の香りたつ「極みそば」、気がつくと麺だけで完食/日本蕎麦保存会

長野県のおいしいそば屋、信州そば

《全国 おいしい蕎麦屋ランキング》 写真と文=片山虎之介

 

蕎麦旬菜こすげ

『蕎麦旬菜こすげ』のそばが、おいしい理由

そば屋の魅力は、小さな店にこそあります。

お客が20人もはいれば、いっぱいになってしまうような店で、ご主人や女将さんと、お天気の話でもしながら、そばを食べる。

こんなとき私は、心の中に、そよそよっとそよ風が吹き込抜けるのを感じます。

小さそば屋ならではの至福のひとときです。

 

『蕎麦旬菜こすげ』は、そういう店の典型です。

そのうえ、蕎麦が際立っておいしいのだから、長野に行ったら、ほぼ確実に、この店ののれんをくぐります。

主人、小菅孝泰(こすげ・のりやす)さんの打つそばは、香りと食感、ふたつの魅力が、俵屋宗達が描いた風神雷神の屏風画のように、対をなして客を楽しませてくれます。

「極みそば」と天ぷらを組み合わせた「天ぷら極みそば」は、代表的な人気メニュー。

 

そばには、香りがあって当然だと思う方が多いようですが、そんなことはありません。世の中には、香りのあるそばと、ないそばがあって、ないそばのほうが、圧倒的に多いのです。

香りを出すのは、とても難しいので、多くのそば店は、食感に逃げます。「コシがあって、おいしい」タイプのそばは、比較的、簡単にできるのです。

そして、香りを引き出すには、そば粉自体に香りが備わった、ほんとうに良いそば粉を使う必要があります。

こういうそば粉を入手して、管理するのが、また難しい。

世の中の多くのそば店は、言いにくいけれど、食感に逃げる店が多いのです。

 

『蕎麦旬菜こすげ』は、逃げません。

香りのあるそばに、まっすぐに挑戦します。

そして、見事に、清々しいそばの香りを漂わせるそばを打つのです。

これを食べたくて、常連客は、この店を訪れます。

遠方から新幹線に乗って、はるばる来る客もいます。

こういうそば食べられる店は、めったにないのですから、ここまでくるのは仕方ありません。

でも、遠くから旅をしてきても、それだけの価値が十分あるそばなのです。

 

香りの秘密は、まず、材料の良さ

ご主人は、香りを出すことのできる材料を探して、長野県中を歩きました。

しかし、なかなか納得のいく材料には巡り合えません。

そこで、日本の中で、唯一、在来種のそばを県レベルで生産している福井県のそばを使うことにしました。

これは、すばらしいそばでした。

信州のそば屋ですから、ほんとうは信州のそば粉を使えれば、いちばんいいのですが、主人のメガネにかなわないのですから、仕方ありません。

福井在来の風味の強い材料を選び、小菅さんならではの打ち方をします。

一本棒・丸のしという、日本そばの最も基本となる技術です。

昔から信州のそばは、この打ち方で打たれてきました。

そば粉のおいしさを、しっかり引き出す打ち方なのです。

現代は、一本棒丸のしの打ち方は、できる人が少なくなっていて、この方法で打ったそばは、めったに食べることができません。

だから、私は、長野に行くたびに、『蕎麦旬菜こすげ』を訪ねるのです。

目当ては、一日、数量限定の「極みそば」。

季節ごとに変化していくそばの状態を把握しながら、その時々、最もおいしいそばが打てる打ち方を、小菅さんはします。

だから、いつ行っても、様々な表情を変えた、在来種の魅力を楽しむことができるのです。

そばの美味しさを引き出す『蕎麦旬菜こすげ』の、そば打ち、「一本棒・丸のし」

 

新そばがとれてから、一〜二ヶ月して、冬の寒さにあたったそばは、最高です。

つまり、年の始めから3月、4月。このころが、新そばの緑の香りを楽しめる時期です。

細切りで、淡い緑を帯びたそばを口に運べば、美しい麺の色そのもののような、さわやかなそばの香りが、口中に広がります。

蕎麦つゆをつけるのも忘れて、一枚、ペロリと食べ終えてしまうのが、いつものパターンです。

 

食感を楽しむそばも、もうひとつの楽しみ

この店のそばは、風神雷神だと書きましたが、香りの魅力とともに、食感を楽しむ麺も、抜群の味です。

そばを作るうえで、香りのあるそば、食感の良いそばは、それぞれ作ることはできても、香りと味が同時に備わったそばを作れというのは、無理難題に近いものです。

そば屋いじめの、この要求に、しっかり応えてくれるのが、『蕎麦旬菜こすげ』です。

殻に包まれたままのそばの実を石臼に入れて製粉したそば粉で打った、黒いホシが転々と飛んだそばが、それです。

これは、二八そばのメニュー名で、品書きにあがっています。

季節によっては「極みそば」が、このスタイルで提供されることもあります。

香りのそば師、小菅孝泰さんは、そのときどきのそばのおいしさを引き出して、繊細な味をつむぎ出します。

この店に、一年、通えば、そばとは何かが、自然に見えてきます。

 

値段は普段使いの店だけれど、その中身は、香り日本一と言っていい極上のそばです。

長野市に住んでいる人は、しあわせです。

こんなそば屋が、近くにあるのですから。

 

【 店の電話番号 】

電話: 026-219-2376

 

【 住 所 】

長野県長野市北石堂町1390-1

 

【 アクセス 】

JR長野駅から徒歩約5分。

 

【 営業時間 】

11時30分~13時30分 (L.O.13時)

17時30分~22時 (L.O.21時)

 

【 定 休 日 】

月曜

 

【ひとり分の平均的な予算】

昼2,000円

夜5,000円

 

【クレジットカード】

不可

 

【 個 室 】

あり、6席

 

【 席 数 】

18席 ( 宴会・パーティーで使う場合は、 24人が着席可能 )

(内訳・カウンター6席/テーブル12席/個室座敷6席)

 

【駐 車 場】

なし

 

【 煙 草 】

ランチタイムは禁煙

 

【アルコール】

信州の、地酒が揃っている

 

【店のホームページにリンク】

https://kosuge-soba.com/

 

【地図にリンク】

https://goo.gl/maps/DaR3ysSP3JJLoVM59

 

 

 

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