手打ちそば処 あまの(埼玉県さいたま市)思わず唸る、凛とした十割そば

埼玉県のおいしいそば屋

1.お薦めどころ
お薦めどころは、加水を極少に抑え硬く打たれた十割蕎麦そのものだ。従って最初に蕎麦の味について書いてしまおう。

極細なのにこれが絶妙の茹で加減でしっかりと腰があり舌に乗せて転がすと蕎麦のエッジをはっきり感じる。そのまま噛まずに呑み込んでも旨い。噛むと硬いというよりしっかりしていると言うべきだとわかる。粘りもあるのだ。旨みが口中に広がり、何とも言えないそばの香りが鼻に抜ける。蕎麦っ食いにとって至福の時だ。

また、蕎麦打つ人や蕎麦っ食いなら、せいろに盛られた蕎麦を一目見ただけで、しっかり水切りされ、つややかなその美しさに絶句する、と言ったら言い過ぎだろうか。また、小規模店ならでは、店主や花番さんとゆったり会話を楽しみながらそばを啜り、料理を味わえる良さもある。末尾に記すそば打ち教室も行われている。

2.環境、外観、雰囲気
JRの浦和駅西口から徒歩約10分、常磐公園の北側の住宅街、細い路地の奥のさらに奥にある。

見た目はまさしく戸建ての民家だが、ちゃんと「手打ちそば処 あまの」と看板がある。貼り紙には1日30食限定とある。初めての人はおそるおそるドアを開けるらしい。



3.店内の様子、接客等
靴をぬぎガラス付きドアを開けると温厚そうなご主人と花番さんが元気よく迎えてくれる。客席は、長細い手前の部屋に4人掛けと2人掛けのテーブルが各1卓、仕切り無しの奥の別室にも同様の各1卓、計12人で満席である。壁はベージュ系のクロス、椅子は白い座面にこげ茶と茶の木枠と脚で豪奢ではない落ち着きがある。店は南面し、簾がかかりとても明るい。

お客さんは時おりご主人や花番さんと会話しながら美味しそうに蕎麦の食事をされている様子である。ご主人は、常連客から、「天野さんの言うことは八割がた冗談なんだから~。」と言われるように、初めてのお客さんにも気さくに声を交わす人である。また、そば打ち人の常連も多く、蕎麦の蘊蓄がいろいろ聞けて面白い。毎月都内からやってくる人や東北新幹線で食べに来る人もいるそうである。

4.お品書き
(1)通常営業の日
席に着くとすぐにサービスのお通しが出される。こんにゃくの炒り煮、高野豆腐、大根切り干しの煮つけ3種。甘めに味付けされとても美味しい。しかし、私は近頃蕎麦の味が分からなくなるのが心配でお通しを食べ終わるとすぐにお茶を飲むようになった。

この日は1時過ぎ。ピークの時間を過ぎ先客は2組だった。お品書きに(当店一押し)とある天せいろを注文した。

せいろは、どのメニューでも、2種類のそばが半人前ずつ出される。


1枚目は日替わりで、北海道の音威子府産、岩手、新潟、会津在来種、当店限定の開田高原産無農薬栽培蕎麦、鹿児島の志布志産などである。どれもそれぞれ個性が強い。私は音威子府産のひそやかな香りと、しかししっかりした甘みと旨味を含んだ味わいが好きだ。

今日はその中の一つ新潟産だった。これも音威子府に似たイメージで切れ長な目の色白の美人を思わせるほのかさが良い。好きなタイプだ。

2枚目は、1枚目を食べ終わる頃を見計らって茹でられた福島の檜枝岐産だ。星がわずかに入り色は薄いグレー、ガツンとした蕎麦の良い香りと旨みを強く感じる。この店の看板と言ってよい。

蕎麦の太さも、新潟産が1mmに近いのではないかと思うくらいの極細なのに対し、檜枝岐産はご主人が基本だと言われる1.2mmと、そば粉の個性に合わせて変えてある。

打ち粉が良いのでそば湯も極上だ。

皿や蕎麦猪口、湯桶(何焼きか私にはわからないが湯冷まし形状の蓋無しの陶器)どれも趣味がよい。

メニューは、そば切りでは、せいろ、ごまだれせいろ、ぶっかけなど、他にそばいなり、そば刺し、鴨の治部煮などがある。特にお薦めはだし巻卵だ。出し汁のみか砂糖入りの甘目か、どちらでも選べる。卵が香る、とろける、と言うのだろうか。とにかく美味しい。

(2)変わりそばの日
毎月中半の日曜日は変わりそばの日となる。予約制、数量限定で、季節の「変わりそば」が供される。

香り混入物は月変わりだ。私が覚えているだけでも柚子、抹茶、紫蘇、胡麻、蓬、蜜柑、芥子、珈琲、肉桂、日本酒etc。変わりそばはつなげるのがとても難しい。湯練りのお店が多いらしいが、この店ではすべて水練りの二八である。

5.蕎麦打ち教室
昼食の営業が終わった後の時間帯は蕎麦打ち教室を行っている。何とマンツーマンである。全くの初心者でも、700gの二八蕎麦粉を用い、イロハから懇切丁寧に指導し、約7人前の蕎麦を打たせてくれる。


上達するに従い、指導の内容も当然変化する。また、ご主人自身、常にどこをどうしたらもっと美味しいそばが打てるか、もっと別のよいやり方があるのではないか、と考えながら毎日蕎麦を打っているそうだ。他の粉も使うが檜枝岐産は教室でも主に用いる粉だ。二八でも難しい。十割で繋ぐことのできる弟子はたぶん極少数ではないか。

(レポート提出/golsoba

【店名】手打ちそば処 あまの

【読み(ひらがな)】てうちそばどころ あまの

【 店の電話番号 】 090-3100-3125

【 住 所 】埼玉県さいたま市浦和区常盤1-8-19

【 アクセス 】
JR浦和駅西口から徒歩約10分から12分
旧中山道に出て、北へ向かい約800m。「第一生命保険浦和分室」と蕎麦店「松月庵」の間の路地を左折し約150m先の左に入る路地の脇に白い看板だけある。店は、路地を左に入り30m先を右に折れその先の突き当り右側だ。

【 営業時間 】
11:30~14:00
17:30~20:00
但し、「一日三十食限定」とある。

【 定 休 日 】
月、火 (ただし、営業日にも不定休が入ることがあるので、心配な方は訪問の日に事前確認されたい。)

【ひとり分の平均的な予算】昼1000円くらい、1300円~2500円くらいか?

【 予 約 】 可能

【クレジットカード】不可

【 個 室 】無し

【 席 数 】12 席

【駐 車 場】 無し

【 煙 草 】不可

【アルコール】 七本槍、一本義他の日本酒
そば焼酎 峠
ビール

【店のホームページ】 無し

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