蕎麦伊とう (愛知県名古屋市) 大正時代の遊郭でいただく自家製手打ちの十割蕎麦

ルーモス

蕎麦鑑定士の申し込み後初めての蕎麦屋訪問です。事前に調べておいた「蕎麦伊とう」さん。家から数キロの距離を街中を縫うように歩き、大きめのスーパーの真正面に「蕎麦伊とう」さんがありました。風情ある外観に大きな暖簾。店前の落ち着いた雰囲気と、目の前のスーパーの生活感のコントラスト。昔の遊郭をリノベーションしたそうです。暖簾のある入り口の横に小さな扉があり「会員制 一見さんはお断り」と。昔の名残か、それとも?
開店と同時に店につきましたが、既に「営業中」の看板が出ているので店内へ。

照明抑え目で広い店内。よさそうなお店です。すぐに店員さんが席へ誘導してくれました。
店の入り口に「蕎麦の産地:群馬県赤城深山常陸秋そば 福井県大野在来種」
と貼ってありました。在来種って希少なんですよね。たしかこのお店はブレンド粉。産地によりどんな違いがあるのかな?

テーブルが広く椅子はクッションがきいて居心地が良い。簾や壁の造作も古民家のような雰囲気に合っていていいお店。掃除も行き届いています。テーブルに「店主よりお客様へ」と、蕎麦のおすすめの食べ方を書いたメモが。店主の蕎麦への思いが伝わります。

BGMはピアノジャズ。今までのお店もよくBGMにジャズを流していました。蕎麦屋はジャズなのか?後から調べたらジャズは、「適度なリズムで飽きない」「ペースや雰囲気を壊さない」「なんとなくおしゃれ」などの理由で、蕎麦屋に限らず流すことが多いようでした。旧遊郭の雰囲気にピアノジャズがなじんでいると感じました。
残念ながら中庭が見えない席でした。中庭の奥に厨房が見えるそうです。

開店直後に入店しましたが、店内にはすでに数組。予約席もあります。人気店なんですね。家族連れ、会社員といった顔ぶれで、ウォーキングスタイルの私たち夫婦は少し異質です。出されたお茶は温かいそば茶。テーブルに湯飲みを置かれてすぐ、そば茶の甘い香り。美味しいそば茶です。

蕎麦のメニューは多くなく、二八か十割の蕎麦で、食べ方を選びます。
ここは酒の肴の一品メニューも有名なようで、お酒に合いそうなメニューも豊富でした。
蕎麦メニューで気になったのは「金胡麻のつけ蕎麦」と「金華豚と香味野菜の蕎麦(温)」ですが、蕎麦の味を味わうには、つけや温よりざる?と思い、主人は天ざる・わたしは鴨ざる・あとはそばがきを一つ注文しました。蕎麦はどちらも十割に変更をお願いしました。

注文するときに、撮影とネットへの掲載をお願いしたところ笑顔で「もちろんです!」と言ってくださったので、ほっとしてうれしく感じました。隣の席ではお連れ様が遅れている様子をみて「お茶が冷めるので出し直しましょうか」と声をかけていて、忙しい中広い店内なのに細やかな接客だと好ましく思いました。

★そばがき
そばがきは蕎麦湯につかった状態で熱々で出てきました。見るからにもっちりしています。れんげですくって小皿にとり、最初は塩を付けて食べてみました。
柔らかくて温かくておいしい。蕎麦の風味がほんのりして舌触りはもちもち。酒のつまみなんですね。わさび醤油や、蕎麦湯と一緒にして食べてみましたが、わたしは塩が一番おいしく感じました。

 

★鴨ざる
15分くらいは待ったでしょうか。二人分一緒に出てきました。ざるに乗った蕎麦は細目でつやつや。麺の色は多少濃いめで、黒い粒(ホシ?)が見えます。量はふつう~少な目。鴨のつけ汁はかなりボリュームがあるように見えました。

まずは蕎麦を2本位そのままいただきます。硬すぎない弾力ともっちりとしたコシ。風味は強くないけれど、鼻を抜ける甘みとなんとなく青臭い香りがしました。麺はすすった時にほんの少しざらつきがありますがするっと喉を通ります。よく冷えていて美味しい!塩を付けて食べるとさっきより青臭い風味が強く感じました。

次につけ汁につけて食べてみました。鴨の風味がきいた濃いつけ汁だったので、下半分位を浸していただきます。
つけ汁は焼きネギが香ばしくて鴨は柔らかく、お腹が空いていたので濃い味がとても美味しい。強いかえしの味に、黒七味を入れるとさらに風味が増します。
麺につけ汁がよく絡み、満足です。
けれどつけ汁の風味が強いので一緒に食べると蕎麦の風味はあまり感じられませんでした。鴨ざるの場合は二八蕎麦のほうがよかったのかな?
主人にナスの天ぷらをもらいました。衣は薄くてカラッと揚がっており、ナスは油を吸っていなくておいしい天ぷらです。

 

蕎麦湯はトロッとしていて美味しい。鴨つけ汁を少し入れて飲んだら香ばしい香りでさらに美味しい。しばらくしたら店員さんが蕎麦湯のお代わりも持ってきてくださいました。
満足して帰るころには満席。並んでいる人が。長居してしまいすみませんでした。

今日感じた点
・今までに食べた十割蕎麦比較の特徴として「硬いと柔らかいの、ちょうど中間」「風味は強くない」「青臭い香り」「コシがありぼそぼそ感はない」「ホシは小さめ」
・硬さとコシが私にはちょうど良く、おいしい蕎麦だと感じた。
・角が立つ・のど越しについてはまだよくわからない
・「挽き方」「こね方」「切り方」で麺の印象は大きく変わるようだ
・産地・時期による違いがどの程度あるのかについて興味がある

(レポート/ルーモス)

 

【 店の電話番号 】052-471-3850

【 住 所 】愛知県名古屋市中村区大門町13

【 アクセス 】ピアゴ中村店 正面玄関前
       中村日赤駅から431m
【 営業時間 】昼11:30-15:00(LO14:30)
       夜17:30-21:30(LO21:00)
       昼夜とも蕎麦売切仕舞い

【 定 休 日 】月曜日・第2火曜日

【ひとり分の平均的な予算】昼2,000-3,000 夜5,000-6,000
            
【 予 約 】電話で予約可

【クレジットカード】不可。現金のみ。夜席のみ1万円以上でクレジットカー
ド可。
【 個 室 】なし

【 席 数 】 テーブル9席 座敷あり

【駐 車 場】 近隣コインパーキングサービスあり

【 煙 草 】店舗入り口に喫煙場所あり

【アルコール】あり

【店のホームページ】あり

 

 

 

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