東京でそば打ちを体験するなら、日本蕎麦保存会のそば打ち教室で楽しんでください。時間は11時から午後4時まで。東京の虎ノ門、神保町で開催します。

そばを打って、茹でて、食べるところまで体験していただきます。たくさんの方がそば打ちに熱中する理由が実感できる、人気のそば打ち教室です。

おひとりでのご参加も、グループでの体験も大丈夫。十割そば、二八そば、お好きなそばを打っていただけます。当社で製粉した最高級のそば粉を使いますので、初めての方でも、驚くほど、おいしいそばに仕上がります。

【会場】
東京都港区虎ノ門4丁目2−4 クレッセント虎ノ門 8F

【アクセス】
東京メトロ日比谷線 神谷町駅から徒歩1分

 

 

【お申し込みは、こちらから】

    ●以下の項目は、初めてお申し込みいただく方のみ、ご記入ください。以前に受講された方は、ご記入は不要です。

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    虎之介のそばエッセイ

    【虎視眈々】

    片山虎之介の、そばエッセイ、連載を始めました。毎週、一回、更新します。更新すると、前回のエッセイは削除します。以前に書いた文章を引っ張り出したものなので、日時の表記にはタイムラグがありますが、当時のままにしてあります。ご承知のうえで、お読みください。

     

    【第一回】 中国、黄土高原の村のそば打ち名人

    写真と文=片山虎之介

     

    (前ページからの続き)

     

     

     

    村長さんの家の台所に案内される。ここで蕎麦打ちをすると言うのだが、部屋の中を見回しても道具が何もない。年季の入った麺棒とか、大きなのし台などがデンと置かれている様子を想像していた僕は、ちょっと心配になる。こちらの希望が、通訳さんから正確に伝わっていないのではないだろうか。

    そこにひとりの女性が登場。にっこり微笑むと、ご飯茶碗の中に蕎麦粉と水を入れ、指の先で練り始めた。やがて小指ほどの固まりをふたつ作って手の中に入れ、拝むような形に両手を合わせた。手のひらをすりあわせると、なんと手と手の間から2本の細い麺が、するすると伸びてきたのである。これが昔から伝わるこの地方の蕎麦の作り方だという。
    名人が手のひらで揉みだした10割蕎麦は、大きな蒸籠で蒸して完成となる。ゆでる調理法と異なり、風味が湯の中に逃げ出さないため、味も香りも強く、美味であった。

     

     

     

    中国の麺料理の方法は、一言でいうと臨機応変。あるいはそんなふうに見えるくらい多様な技法がある。細長い麺にするだけでなく、削り、ちぎり、のして、様々な形を作る。そして蒸す、煮る、焼く、炒める、あらゆる方法でおいしさを追求する。広い中国では別の地方に行くと、まったく別の調理法が出現する。思いもかけないアイデアを駆使した麺料理の多様さからは、日本で食にかかわる仕事をする人々は学ぶべきことが多々あるのではないだろうか。

    蕎麦はこうあらねばならないという既成観念に縛られずに、日本の蕎麦屋さんも新しい試みをどんどんしていただきたい。沖縄にひとつの成功例がある。那覇市のそば処『美濃作』の「月桃蕎麦」だ。さらしな蕎麦に、沖縄の植物「月桃」を粉末にして練り込んだもので、南国らしい芳香が素晴らしい。こういう個性的な蕎麦が日本各地で生まれたなら、蕎麦を巡る旅も、どんなにか楽しくなることだろう。