そば処 ちくま(長野県上田市)信州ご当地蕎麦 葉わさび蕎麦を食す!

関東甲信越のおいしいそば屋

わさび.日本原産のアブラナ科ワサビ属の植物で強い刺激性のある香味を持つことから薬味や調味料として使われることが多い食材.蕎麦の薬味としてもよく用いられ,もり蕎麦をはじめ,冷たい蕎麦を注文した場合,現代ではネギとともに供されるのがスタンダードである.ピリッとした辛味は実に心地よく,薬味以外でも漬物(ex. わさびの茎漬け)などにして楽しむこともできる.筆者としては日本酒(もちろん純米酒)のあてにこれ以上ない逸品で,まず蕎麦前をわさびの茎漬けで楽しみ,その後,もり蕎麦で〆る・・なんてことも何度もしていたりする(ああ,塩分って控えられない).

そんなこともあり,わさびと言えば冷たい蕎麦のみを連想しがちであったが,ある時,めずらしいお品書きに遭遇した.「名物 葉わさび蕎麦」.この邂逅は駅ビルなどにテナントとして入っていることが多い某蕎麦チェーン店1)でのことであるが,信州長野にはわさびの葉や茎を種にした汁蕎麦があるとのこと.くだんのチェーン店ではこれまでに何度も頂いているが本場の信州では未体験であった.そこで一念発起.いざ信州へ!地元の最寄り駅(JR高崎駅)から北陸新幹線で40分弱・・.『近い.めっちゃ近いではないか』.何で今まで訪れなかったのだろうか.そんな思いで長野県上田市に到着する.何年か前の大河ドラマで話題になった町.威風堂々した貫禄のある町並みである.

お目当てのお店はそんな町の駅舎の中にある.そのお店は「そば処 ちくま」さん.カウンター席のみの立ち食い蕎麦屋的なお店である.注文は食券式.あらかじめインターネットでお品書きを確認していたためすぐさま食券を購入する(券売機の前での長考はマナー違反ですよ).

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実はここのお品書きは2種類ある.それは「特上」と「駅そば」.「特上」とは生そばを使用するもので3分ほど時間を要するらしい.もちろん購入したのは「特上安曇野葉わさびそば」.蕎麦好きとしては生そばがあるのにそれを頼まない手はない.「3分ほど要します」だって?『いくらでもまちますよ(某クマの着ぐるみキャラの心境)』2).うどんもあるようなので『蕎麦でお願いします!』と強調して従業員のおばちゃんに食券を渡す.

待つことしばし.本物の葉わさび蕎麦と初顔合わせである.『おお!これが・・本物』と感嘆しつつ,つぶさに観察.茶褐色のかけ汁にネギとわさびの葉と茎が浮かんでいる.このシンプルさも美しい.ビジュアル的評価は信州美人と言ってよいだろう.おっと,伸びてしまってはいけない.

感傷にふけるのもつかの間,いざ実食である.まずつゆを味わってみる.『・・ズズズ』.塩味は前面に出ず,意外にもやさしい風味.某チェーン店の関西風汁とは異なる趣である.

ついで蕎麦を手繰ってみる.『ズズッ』.細打ちではあるが星が多い黒めの信州蕎麦.温かい蕎麦ではありながらも持前の野趣あふれる感は健在である.『・・ああ,うっま!』と脳内でさけびつつ,まずはかけ蕎麦的に堪能(蕎麦とつゆの調和を味わうの意).

しばし食べ進めたところで主役の葉わさびに箸を伸ばす.ピリッとした辛味を感じつつも強すぎず,蕎麦の味わいを邪魔していない.見事なアクセント,程よいパンチのアリルイソチオシアネート3)である.気がつくと,そろそろ試合(食事)も中盤戦.もうそこからはつゆ飲む,蕎麦手繰る,葉わさびつまむ・・のループである.松重 豊さん(名俳優^0^/)演じる井之頭五郎が登場するあのドラマ4)なら定番の曲がかかっていそうな場面である.意外と麺量にボリュームを感じたが,それでも蕎麦との試合時間はだいたい一定範囲内に収まるもの・・.10分弱程度で終了である.

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『おいしかった~』という思いが脳内でくり返される.・・ということは『勝った』ということでもある(これも五郎さん風か・・).空ろになった丼を置き,周囲を見渡すと入店時は混雑していた客がきれいに消えている.夕方4時なので混む時間帯でもないためたまたまの混雑にあたってしまったのかなと思いをめぐらす.

『ごちそうさまでした.おいしかったです』と従業員のおばちゃん(すでに入店時とは違う人だが・・)に一声かけてお店を後にする.改めて,来てみてよかったと思いが深まる.考えてみれば信州長野自体が日本随一の蕎麦処である.蕎麦好きとしてはもっとこの県に足しげく通っても・・いや,いっそのこと移住してもよいのではないだろうか.腹ごなしに町を少し散策すると夕方の営業に向けて「準備中」との掲示があるお蕎麦屋さんが何軒もある.同じ中年とは言え,大喰らいの五郎さんなら勢いで蕎麦屋の梯子とかできちゃうんだろうな・・.でもわが持論は「『もう少し食べたいな』くらいでやめておくのがおいしい食べ方」.そう,欲望は常に満たすためにあるとは限らない.欲望は自らを映す鏡なのだ.そんな哲学者のような名言(自画自賛)を反芻しつつ,上田を後にする筆者であった.


1) 気になる方は検索してくださいね^0^/
2) コンドウ アキ(2004).リラックマ生活 ~だらだらまいにちのススメ~,主婦と生活社.Pp.78-79に「食への執念」,「どこまでも前向きな図々しさ」を感じ取れるエピソードがある.食自体の好みは彼(?)とは異なれど蕎麦好きもこうあるべきか.
3) アリルイソチオシアネート(C4H5NS).わさびや大根の辛味成分.抗菌作用もある.
4) 孤独のグルメ.久住昌之原作のテレビドラマ.松重 豊さん演じる「井之頭五郎」が仕事で出向いた街々で思うままの食事をする物語.おっさんが一人で食事をするだけのドラマであり,グルメを除けば眼福的要素はないにも関らず,妙に見入ってしまう名作.

参考文献
新島 繁 (2011).蕎麦の事典,講談社学術文庫
鵜飼良平 (2009).知識ゼロからのそば入門,幻冬舎.

(レポート提出/葉乃井)

【店名】そば処 ちくま

【読み】そばどころ ちくま

【電話番号】0268-21-0567

【住所】〒386-0025 長野県上田市天神1

【アクセス】JR上田駅舎内

【営業時間】7時から19時30分

【定休日】変更となる場合があるのでご来店前にご確認ください

【ひとり分の平均的な予算】~1000円

【予約】

【クレジットカード】・・食券式なので

【個室】無

【席数】カウンター11席

【駐車場】無

【煙草】完全禁煙

【アルコール】

【店のホームページ】無

【地図にリンク】https://goo.gl/maps/3abrZJkcBGoyvQjH8

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