手打ちそば ながお(広島県東広島市)こんな所に豊平流の蕎麦屋さん

どんごろやす

いつだったか東広島市の南部に豊平流の美味しい手打ち蕎麦屋さんがあると聞き、居ても立ってもいられず食べに行きました。それからは何度か足を運んでいます。令和6年の今年はゴールデンウィークを利用して食べに行きました。
場所は東広島市と呉市を南北に結ぶ国道375号線の途中にある黒瀬町市飯田、紺色の看板を目印に約800mほど坂をぐんぐんと上った先にあります。ただその看板は小さく見過ごしやすいので、「株式会社南洲科学」という白い看板を目印にその対面を入っていけば良いでしょう(「呉金属熱錬工業」という看板を入っていっても良い)。急な坂を上る途中には、民家や小さな工場が所々にありますが、道も狭いため「本当にこの先にあるのだろうか、間違っていないだろうか」と毎回訪れる度に不安になる雰囲気です。近くまで来るとようやく二つ目の看板が見えて来て、やっぱり間違い無かったかと安心します。

お店の建物は昔からある日本家屋がそのまま利用されており、この地域に多く見られるシャチホコを飾った赤茶色の石州瓦が屋根に葺いてあります。石垣の塀で囲まれた中には、向かって左手には庭が、右手には池があり鯉が泳いでいます。外観は昭和に建てられた一般的な民家ですので、幟や看板が無ければ蕎麦屋さんとは思えないような佇まいです。
石垣の傍には塩ビ管で引かれた清らかな山水が延々と流れており、蕎麦にもきっと使われているのだと思うと美味しさに一段と期待が膨らみます。

 

玄関を入って靴を脱いで廊下に上がると、8畳間と6畳間の客室が2部屋ずつ合計4部屋あり、廊下の奥にはガラス越しに蕎麦打ちが見ることができる部屋と厨房があります。ガラス窓には高橋邦弘名人の名前が入った達磨一門の暖簾がかかっています。私は運よく1度だけ蕎麦を伸しているところを拝見できましたが、手早く伸されてそば切りになっていく様子をみて感心しきりでした。
蕎麦粉は季節によって種類を変えられているとのことで、この日の蕎麦粉は北海道の弟子屈産でした。見開きのお品書きから、天ざると鴨汁蕎麦を注文しました。

 

○天ざる 

 

そば切りは、竹編みのざるに乗せられとても瑞々しく本当に美味しそうです。1.3~1.5㎜のやや細麺めで長さは40cm以上、薄く茶みがかりホシが全く無く、しっかり角の出た麺です。そのまま取って噛んでみると、コシがしっかりとあって歯切れも割とよく、ほのかな甘みとそばの香りが広がります。

麺つゆは、やや赤みのある黒褐色で、鰹が効きやや甘みがありそのまま飲んでも美味しい味付けです。天つゆとしても美味しく食べられます。薬味は白ネギの輪切りの他、辛味大根と山葵それぞれのおろしが少量ずつ一つの小皿の上に乗っています。
天ぷらは5品(海老、キス、茄子、南瓜、薩摩芋)もあり、どれもさくさくして美味しいです。そば切りや天ぷらは塩でも食べられるように、さり気なく1枚の空いた小皿がついています。テーブルには岩塩の他、藻塩や抹茶塩があり、選べるようになっています。
蕎麦猪口や小皿は、大分の小鹿田(おんだ)焼が使われています。白地に茶色でシンプルな幾何学模様が入っており、これがまた清潔感あって手触りも良くお洒落な雰囲気に感じます。

○鴨汁蕎麦

 

そば切りは天ざると同じです。つけつゆは、斜め切りの白ネギと厚めの鴨肉が煮込んである温かいつゆで、美味しそうな鴨の脂が浮いています。蕎麦をつけて食べると、鰹の効いた甘みのあるつゆと脂が麺に絡まって、蕎麦のまた別の味わいを得ることができます。こちらも美味しいです。
薬味には小口切りの青ネギがついています。つゆには白ネギが入っているので違いが出してあるのだと思います。

今回はゴールデンウィークの昼間、やや遅い時間の入店だったので、蕎麦が売切れになっていないか冷や冷やでしたが、何とかありつけました。お店はご夫婦とも達磨系で蕎麦打ちの習得をされたようですが、お二人だけで忙しく動き回られていますので、お店の前で並ぶことも多く、また注文した蕎麦が出て来るまでにやや時間が掛ることがあります。ただ、周辺の木々や庭の雰囲気、広々とした部屋の綺麗な佇まいや壁際に並べられた小鹿田焼の焼き物等を眺めたりして、ゆっくりとした時間を過ごせます。時間がない方を除けば待つことが苦にはならないでしょう。何度も訪れたいお店です。

(レポート/どんごろやす)

 

【 店の電話番号 】0823-27-3293

【 住 所 】広島県 東広島市 黒瀬町 市飯田873-2

【 アクセス 】東広島呉道路から車で約6㎞ (12分)
       国道375号線 八幡橋バス停から1.3㎞(車5分、 徒歩24分) 

【 営業時間 】昼11:00~15:00(L.O.14:30、蕎麦が無くなり次第終了)

【 定 休 日 】月・火曜日

【ひとり分の平均的な予算】昼・夜 1,000~1,700円

【 予 約 】可能

【クレジットカード】不可(PayPay使用可)

【 個 室 】あり(奥にあり)

【 席 数 】 26席(4人×5テーブル、6人×1座卓)

【駐 車 場】 あり(8台分)

【 煙 草 】不可

【アルコール】あり(日本酒、ビール)

【店のホームページ】http://teutisoba.yu-yake.com/

 

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