手打そば処 橘(京都府木津川市)田園広がる長閑な終着駅のお蕎麦屋さん

京都府のおいしいそば屋

JR西日本、大和路線の京都府南部にある終着駅である『加茂駅』から徒歩圏内にこじんまりと高齢のご夫婦で経営されてる本格蕎麦の店。

以前、信楽に行く際に車で通過し、気になっていたお店。地元の方に情報を聞くと田舎なのにずっと続けていらっしゃるので人気店なのではないか?とのことでした。わざわざ行かないと伺えない立地です。営業が始まる正午前に幟が出るので営業していることが良く分かります。

ご自宅を改装されたような佇まいですが店舗前にはこだわりを感じるメニューがあり、引き戸を開けると店内全てが見渡せ、清潔感がありイメージ通りの雰囲気に落ち着きます。店内一番奥にはガラス張りでそば打ち場も見えます。オープン間もなくの入店だったにもかかわらず、歩く人はほぼ見かけず、車もさほど通らないこの場所の、どこから人が沸いてきたんだろう・・・?と言うくらい賑わっておりびっくりしました!

私は一人で伺ったのでそば打ち場が見えるカウンターに通されました。まず、店内に貼られた様々な情報やテーブルに配置された『そばのウンチクブック』(これは私が勝手につけた名前です)が気になり、注文より先に見入ってしまいました。

ウンチクブックは読み応えがありとても勉強になり興味深い内容のモノでした。

メニューはランチメニュー部分に付箋が貼られ分かり易くしてくださっていました。壁にも8月の人気そばとして1~5位まで記載があり、お店の方にも一番のおススメを伺いそれを注文しました。『天ざるセット』です!!

平日は二八蕎麦のみ、土日祝は【十割蕎麦】を希望すると数量限定で用意があるようです。来店前にお店の情報を色々調べていったので、お店が蕎麦打ちをする店主と、奥様のみで切り盛りされていることを知っていたので混雑時は相当待つだろうと覚悟をして伺いました。客層は比較的高齢のご家族やご夫婦、あとはこの地域でお仕事をされている40代くらいの個々のお客様と言った感じでした。

注文からお蕎麦が供されるまで私は30分以上待ちましたが、その間、例の『そばのウンチクブック』が丁度良く楽しく蕎麦を待つことが出来たのと、カウンターから暖簾越しに見える厨房で高齢の(70代後半から80代位)ご主人が汗を光らせ一心不乱に天ぷらを揚げたりお蕎麦を優しく扱われている雰囲気が伝わり想像を膨らませながら蕎麦を待つという贅沢な時間でした。私より先に入店された方の数名は天ぷらにかけそば(温かいそば)を注文されている方もいらっしゃり、食いしん坊の私はとっても気になって仕方ありませんでした。

お腹がそろそろグぅ~っと鳴る中、ようやく待ちに待った天ざる蕎麦が届きました!天ぷらは三種、そばより少し先に揚げられ折敷の上で蕎麦待ち状態でしたがまだ温かく蕎麦も艶やかにざるに広げられて鎮座。蕎麦の上には店舗名にもなっている橘の葉が添えられていました。まずは慌てて蕎麦を観察、『そばのウンチクブック』には【蕎麦は秒単位で味が落ちていくから出された瞬間が食べごろ】と大きく書かれていたので写真も観察も一瞬にして、まず頂きました。

蕎麦自体は白っぽい麺で艶やか、見た目の粒感は無く統一された色目、エッジはしっかり立った麺で太さも細すぎず太すぎず。口に運ぶと爽やかな蕎麦の風味を感じ口に入れた時より後味の蕎麦の風味が強く感じました。天ぷら用に添えられていた少し湿度の有る塩を箸に付け、蕎麦を掴んで口に運ぶと蕎麦の甘みをしっかりと感じることが出来ました。弾力は強めでのど越しも良く、半分くらいは天ぷら用の塩で頂き、途中から拘られているというお出汁で味わうことにしました。甘めでしっかりはしてるが、軽さも感じられる出汁は本かつお、めじか、さば、うるめいわし、昆布それぞれ拘りの日本各地の産地が記載されていました。

通常時の蕎麦の産地は【滋賀県産 竜の里】とのこと、今回は運よく店舗で開催されている『新そばいろいろ食べ比べスタート1弾~3弾』の第1弾と言うことで【埼玉県 三好産】の新そばを頂くことが出来ました。このような取り組みもとても興味深くご主人のこだわりやお蕎麦に対する愛情を強く感じることが出来るプロデュースでした。

薬味はわさびとキラキラ光るネギの小口切り(白い部分)、空のそば猪口、徳利に入った出汁、漬物二種(きゅうり、おこうこ)、女性の手で余裕で握れるくらいの量の真っ白いご飯、エビ2尾、さつま芋の輪切り2枚、いんげん2本の天ぷらに添えられた塩。

一人で楽しみながら、ゆっくり(劣化前に食べ終えれるように少し慌てて)そばのみを先に一目散に食べていたら、同時くらいに供されていた60代くらいのご夫婦の元に運ばれたお蕎麦の事で少しやり取りしているのが聞こえ、聞くともなく耳に入ってきた内容が『注文した蕎麦のセットが二つ(ご夫婦二人で)それと追加で頼まれたおろしそば・・・』がテーブルに乗っていたのですが、ご夫婦は追加で頼まれたのは『おろし』のみで、そばは不要だったとのこと!要は大根おろしを別で欲しかった・・と言うことだったらしいのですが店側はおろしそばを供されたので蕎麦が一枚不要になったらしい。内心、30分も待ってようやく供された蕎麦が無駄になるのはめっちゃ勿体ないし、店主のお仕事やこだわり、お蕎麦の事を考えるとショックだろうなぁ~、やるせないな~と考えながら黙々と食べていました。

それから店舗にひっきりなしに入ってこられるお客様の接客がひと段落されたタイミングで奥様がカウンターにいた私に『間違えたお蕎麦ですが、もしよければ召し上がりませんか?』と声をかけてくださいました!!私もセットを注文したのでお腹は満たされるのは容易に想像できたのですが、色んな想いが詰まったお蕎麦が廃棄されるなんてあり得ない!!と考え『嬉しい~ありがとうございます♪』と厚かましくも頂くことを決め、同時にご飯をあきらめることにしました。

最近お蕎麦の神様が付いてくれている気がするほど、良いことが続くな~ラッキーにもいただいたお蕎麦を食べている最後の方は、初めに口を付けた瞬間より蕎麦の切れが早く艶も失われていましたが、これこそがお蕎麦の個性だな~と色んなことに思いを馳せながらラッキーにも拘りの蕎麦を2枚いただける幸運に恵まれた幸せも噛みしめていました。そば湯は優しいとろみの白濁したもの。こだわりの出汁に入れると益々出汁の甘さが引き立つ美味しいそば湯でした。

オープン時間からお客さんが来られるのでお昼時は混雑しているようです。ゆっくり待ち時間を楽しめるスケジュールで伺うか、お昼時を避けて行かれるのがおススメです。レジ前に韃靼そば茶や蕎麦かりんとうが販売されており、お土産で購入される方もチラホラ。私も韃靼そば茶を購入し一期一会の蕎麦屋さんを楽しみました。国産の食材に、並々ならぬこだわりを持っておられ、そばに対する愛情を強く感じることが出来る拘りの蕎麦屋ですが、肩肘張らずに自然体で味わえる素晴らしいお店でした。

(レポート提出/Megumi.K)

【 店 名 】手打そば処 橘

【 読 み (ひらがな)】てうちそばどころ たちばな

【 店の電話番号 】0774-76-7951

【 住 所 】京都府木津川市加茂町駅東1丁目9-10

【 アクセス 】 JR西日本 大和路線 加茂駅東口 徒歩2~3分

【 営業時間 】11:30~15:00 (但し無くなり次第終了)

【 定 休 日 】火曜日(祝日の場合は翌日)金曜日(祝日は営業)

【ひとり分の平均的な予算】 1,595円~

【 予 約 】不明

【クレジットカード】不明

【 個 室 】なし

【 席 数 】テーブル4人席×1 テーブル2人席×3 カウンター席×4

【駐 車 場】 有   店前3台と、隣の精米所駐車場に4~5台くらい

【 煙 草 】可(但し店前に簡易テントと椅子が設置された喫煙スペース

【アルコール】有 (コロナ禍は中止)

【店のホームページ】https://soba-noodle-shop-1131.business.site/

【地図にリンク】https://goo.gl/maps/kDTy3jedGnWJXotAA

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