おたる 蕎麦屋 薮半 (北海道小樽市) 歴史ある建物で、そば前とにしんそばをいただく
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小樽駅から歩いて5分ほど、国道から一本入った細い路地に面してお店があります。正面から見ると和風の建物で、縦長の建物に見えます。建物の一部は、元は石蔵だったものを改装し、つなげたお店です。
お店に入ると、正面から奥までかなり長さがあります。テーブル席が続き、その向こうには石蔵につながって小上がりがあります。14時過ぎに入りましたが、満席で、10分ほど待ちました。前には一人、待っている人がいて、待っている間にも3組、お客さんが来ました。うち2組は中国や韓国からのお客さんでした。
このお店は、外観、内装などの全てが歴史を表していて、趣のある古さがあります。それでいて、ただ古いのではなく、手入れをして清潔感を保っているように感じます。店に入ると右手に待合の椅子があり、左手に会計カウンター、さらに左奥に厨房があります。入口からまっすぐテーブル席があり、さらに奥に行くと小上がりになっている石蔵に繋がっています。奥に2階席へ行くための階段があります。壁は白、柱と天井は茶色、天井は茶色の板が格子状にあります。テーブルとイスは黒、座布団は茶色で落ち着いた雰囲気になっています。2月の訪問でしたので、石蔵には雛飾りが置かれていました。
店内ではピアノの音楽が流れていました。お客さんのおしゃべりは控えめで、店員さんの声が活気づいています。他のお客さんを見ていると、談笑したり、一人で静かにお酒を飲んでいたり、食事を楽しんでいる様子がわかります。席を待っている時も思いましたが、日本人だけではなく、アジア人が多かったです。
接客は女性店員で、とても丁寧さを感じました。席に案内されてから上着を脱いで座るまで後ろで待ってくれました。注文を厨房へ伝えるイントネーションが独特です。蕎麦屋の専門用語かと思いましたが、そこまで簡略化しておらず、私が聞いていてもある程度は分かるものでした。
このお店はメニューを見るのも楽しいです。古い本のように、紙をひもで閉じています。そばの種類と説明の他に、このお店の歴史やコラムが書かれています。そばの種類も一品ものも多く、そばの前に一杯飲んでからの人も多いです。季節限定メニューもたくさんあります。どのメニューにも一言二言の説明書きがあります。また、メニューの種類を分けるようにコラムがあります。内容は、黒いそば挽きぐるみではないとか、天抜きの話なども載っていて、なかなかの読み物です。後半にはこのお店ができるまでの歴史が書かれています。
せっかく冬に訪問しましたので、そば前で季節限定メニューの「たちかま」とビールをを注文しました。たちかまは、マダラの白子と塩で作られたカマボコです。色はうすピンク色か薄いベージュで、見た目は卵のようですが、プルプルしています。注文したものは、一口大に薄切りしたものが出てきました。醤油と山ワサビが付いてきました。自分でワサビをおろして食べます。塩味がきいているので、ワサビだけでも十分おいしく、お酒に合います。一口かじるとモチっとしていて、白子の風味がよくわかります。
たちかまの他に、こちらも季節限定メニューの「にしんくきそば」地物粉(北海道産100%)を注文しました。「にしんそば」もありますが、にしんくきそばはニシンの他にも具がのっており、ニシンが多く取れる「群来」の海をイメージしたそばということでした。そばが運ばれてきてびっくりしました。ニシンの甘煮の上に数の子、周りにはとろろ、海苔、わかめなどが、そばが見えないくらいにのっています。温かいそばを注文したからか、そば湯がいるか聞かれ、そば湯とそば猪口を置いてくれました。
そばは限定の地物粉を注文しました。こちらは、茶色で細め、星が少し混ざっており、見た目に少しざらっと感がありました。長めで、密度の濃そうなそばです。そばの麺の量も具もたっぷりです。薬味はネギが皿にのって出てきました。
一口食べてみると、まず、ニシンの甘煮の出汁が良い香りをしています。魚くさいのではなく、出汁としておいしいです。具が多いのにそばの香りが生きています。ワカメが長くて麺と一緒に食べられます。ワカメはそばと一緒に噛んで食べました。ニシンは甘すぎず、出汁としても具としても良いです。麺は少しざらっと感があり、温かいそばでもコシがありました。噛むとそばの香りがほんのりと感じられました。そばそのものも香りが残っており、具と合わせて食べても香りがありました。汁は甘めですが、醤油の塩加減と合っており、ニシンの甘煮を一緒に食べてもくどくならない味加減でした。とろろやワカメが入っていたので、ひとつのドンブリでいくつものそばを食べたような感覚でした。
最後にそば湯をいただきました。白い濁りが全体にあり、濁りが沈んでいません。濃いめのそば湯でした。
以前、このお店に宴会で訪れたことがあります。品数が多く、どの一品料理も美味しくいただいた記憶があります。その時に食べたもりそばも、風味が良かったことを覚えています。これまで60年以上、小樽で続いている蕎麦屋です。お店の雰囲気とおそばの味が、ここまでの歴史を作ってきたということがよく分かります。
(レポート提出/ゑみう)
【店名】おたる 蕎麦屋 薮半
【読み(ひらがな)】おたる そばや やぶはん
【 店の電話番号 】0134-33-1212
【 住 所 】北海道小樽市稲穂2丁目19番14号 静屋通り
【 アクセス 】小樽駅から徒歩5分
【 営業時間 】11:00~16:00 17:00~20:30
【 定 休 日 】火曜日
【ひとり分の平均的な予算】昼 1000円 夜 1500円
【 予 約 】可
【クレジットカード】不可
【 個 室 】あり
【 席 数 】ホール 4人がけ×7、石蔵前 4人がけ×2 石蔵横 4人がけ×2 石蔵 4人がけ×5 (椅子席の他に座敷席あり)
【駐 車 場】あり
【 煙 草 】テーブルによる
【アルコール】あり
【店のホームページ】http://www.yabuhan.co.jp/index.html
【地図にリンク】https://goo.gl/maps/jZTsMiU1n4Cvji659