手打ち蕎麦 箱根暁庵(神奈川県箱根町)山縣有朋公の別荘と庭園をながめながら味わう手打ち蕎麦
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川のせせらぎや鳥の声を聞きながら、歴史を感じる建物や庭園を眺め食する蕎麦は、都会で食べるものより一段と美味しく感じる。外食は「味」だけではなく「雰囲気」も大切な要素であることを改めて感じました。
年が明け1月初旬、箱根湯本駅から徒歩15分ほどにある、手打ち蕎麦箱根暁庵を訪れた。こちらのお店はここ箱根湯本が本店となり、小田原店、銀座店、成城学園前店(現在は閉業中)がある。
箱根湯本駅を降りたら、駅前の繁華街を抜け、瀧通り商店街に入る。商店街はほんの50メートルほどで、その先は須雲川を挟んで左右に大小様々な温泉旅館やホテルが並ぶ。登坂を歩くこと約15分、少し息が切れて来た頃に、箱根湯本の温泉街にしては広めの駐車場に年季の入った木造平屋建てのお店が見えてきた。
入口には白の日除け暖簾に黒字で「箱根暁庵」とある。さらに向かって右手には「箱根暁亭」の門と説明文がある。「箱根暁亭」は、明治の元勲 山縣有朋公の別荘を移築し、庭を再現したもので、現在は週末と繁忙期のみ、蕎麦懐石店として貸切営業しているとのこと。
残念ながら、私が訪れたのは平日だったため、「箱根暁亭」の方は建物の中を拝見することは出来なかったが、「箱根暁庵」の利用客は自由に庭園を散策させて頂ける様であった。
本日のお目当ての蕎麦屋「箱根暁庵」は、蕎麦打ち名人高橋邦弘先生直伝の蕎麦というのを全面的に宣伝しておられ、食べる前から期待が膨らむ。店内への入口は2箇所あり、ひとつは駐車場から直に入る正面玄関と、もう1つは山縣有朋公の庭園を通って入る脇玄関だ。私は当然、後者を選んだが、意外にも私の後から訪れたお客様達は、
全員、駐車場から直に入る正面玄関から出入りされていて、蕎麦を食する前に気持ちを高める様な演出を逃してしまっていて、何だか、もったいないなぁー、と思った。
店内に入ると、正面にコの字型のカウンターテーブルがあり、コの字型の凹んだ部分が囲炉裏になっていて雰囲気を盛り上げている。
その他に4人掛けテーブルが4つ小さな2人掛けテーブルが4つあるのだが、その小さな2人掛けのテーブルにさらに椅子を1つ追加して3人掛けとしている。実際のところ、このサイズのテーブルに3人座ったら、お盆を3枚載せるのは不可能であろうと思われるが、まあ、そこは観光地ということで目をつぶった。やや強引ながら、2人掛けテーブルを3人掛けとして計算すると計40人収容する蕎麦屋となる。店内は古い木造平屋建てで、柱や梁が黒光りしている。
今回も、少しゆっくり見学させて頂きたかったので、午後1時半頃お伺いしたが、店内はほぼ満席。ちょうど私と入れ替えに店を出たお客様のテーブルに通された。花番さんは2人。厨房も2人で廻している様だった。厨房はガラス張りになっており、職人さんの動きが見える。60代くらいの職人さんが釜前。40代くらいの職人さんが中台の様だ。程なくしてメニューとそば茶が運ばれてきた。イメージ写真を背景にして筆字で書かれたメニューだ。品数はそれ程多くはないが、それでも厨房2人、花番2人の計4人で廻すには混雑時は大変であろうと察した。
私は①天ぷらせいろ 1900円と ②かけそば 850円 を注文した。注文してから7〜8分後に中台担当の職人さんが厨房から出て廊下で揚げ物の準備に入った。どうやら厨房が手狭なため、電気式のフライヤーが廊下の一部に設置されている様である。
注文後、約20分ほどでまず、戸隠ザルに盛られた、もりそばがでてきた。天ぷらは揚がり次第、持ってきていただけるとのことなので、早速、蕎麦から頂くことにした。蕎麦はホシのない白っぽい色をした細麺で、太さは1.5mm×1.0mm程の平べったい形状をしている。
程なくして天ぷらも運ばれてきた。26-30サイズのエビ2尾にメゴチ、それとシシトウが1つ。塩と天つゆがそえられていた。個人的に、天ぷらを麺つゆにつけて食べるのはあまり好きではないので、塩と天つゆが付いてくるのは、とても嬉しかった。エビにはきれいに花が咲き、サクッとしていて職人さんの技量がうかがえる。
蕎麦について花番さんにお伺いしたところ、北海道産のキタワセとのこと。新蕎麦とのことだったが、この日はあいにく、それ程、つよい香りと鮮やかな緑はなかった。午前中にお伺いしていれば、また違ったのかも知れない。自家製粉の粉は、おそらく丸抜きを50-60メッツシュでふるった感じ。麺は、目が詰まった感じの重量感があり、こしが強いものだった。
汁は返しと鰹だしで作られていて、やや辛めながら、角のない麺によく合うものだった。食後に蕎麦湯を入れると、鰹だしの風味が広がって、とても美味しかった。
次にかけそばを注文した。麺はせいろそばと同じもので、やや辛めの汁はやはり鰹だしがほんのり香り大変美味しく頂きました。ただ、1つ残念だったのは、麺が太いもの細いものと混じっていたため、かけ汁の中に浸かった細い麺は延びるのが早く、途中から歯抜かりしてしまう感じでした。麺線が太い方に揃っていれば解決する問題だと思いますので、これは次回に期待したいと思います。
総合的には、趣きのあるお屋敷と庭園を眺め、野鳥のさえずりを聞きながら食す蕎麦は、大変美味しく頂くことができました。
(レポート提出/はやおき)
【店名】手打ち蕎麦 箱根暁庵
【読み(ひらがな)】てうちそば はこねあかつきあん
【 店の電話番号 】0460-85-6763
【 住 所 】神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋182
【 アクセス 】箱根登山鉄道 箱根湯本駅 徒歩15分
【 営業時間 】平日11時半から16時
土日 11時から16時
【 定 休 日 】水曜日
【ひとり分の平均的な予算】昼1500円
【 予 約 】不可
【クレジットカード】不可
【 個 室 】なし
【 席 数 】 40席
【駐 車 場】 あり 16台
【 煙 草 】禁煙
【アルコール】あり