蕎麦処 卯蕎(うきょう) (石川県金沢市) 上野藪蕎麦の伝統を受け継ぐ金沢卯辰山の蕎麦処
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ざる蕎麦がますます美味しい季節になった6月のある日、某放送局が取り上げて以前から行きたいと思っていた金沢は卯辰山の中腹にある蕎麦処 「卯蕎」を訪ねました。放送の中で店主が「私の修行したのはお江戸の上野藪蕎麦でして…….」という件が妙に私の頭から離れずにいたのです。上野藪蕎麦と言うと、我々蕎麦ファンからすると一度は行ってみたい憧れの蕎麦屋の一つです。そんなわけで妻を隣に乗せ、車で卯辰山を登る途中で支道の細い坂を下り、なんとか目的地にたどり着きました。
TV番組でも紹介されていましたが、隠れ家のような佇まいの店です。店の真ん前の駐車場に車を止め、おもむろに暖簾をくぐると朱色の壁が眼に鮮やかで、棚に収まる様々な模様を施した蕎麦猪口も客の目を惹きます。部屋は二部屋で四人掛けのテーブルがいくつか配置され、満席で24席ぐらいでしょうか。この日はまだ他のお客さんが入っていなかったため、我々は卯辰山の緑が目に入る席を選びました。
メニューを一通り見渡すと、江戸風そばに加賀の伝統料理をミックスした季節のそば膳が興味と食欲をそそりました。選んだ蕎麦により2,000円 2,200円 2,500円と組み合わせ自由の4部構成になっていました。前菜は海老湯葉巻きと治部煮から一つ、丼は天丼か鰻丼、蕎麦は好きなものをひとつ。またデザートはそばプリン・ぜんざい・アイス・黒糖くず餅から選ぶことになっていました。私は治部煮、天丼、滋養蕎麦と甘味はぜんざいを選びました。このコースメニューは非常にお得感があり、選んだ選択肢のどれ一つとっても評価できるものでした。
メインに選んだ滋養蕎麦は納豆、卵、山芋、オクラ、茗荷、大葉そしてめかぶと具沢山が蕎麦の上に乗っており、まさにその名の通り滋養に富んだ逸品です。蕎麦の喉ごしの良さとともに相性の良い具材が渾然一体となって喉の奥を一気に通過するのは実に快感でした。
前菜の治部煮にはもちろん鴨肉が入っており、加賀料理の味を演出していました。肝心の蕎麦ですが、言う間でもなく江戸風の細切りで角が立ち腰のしっかりした蕎麦を地で行く感じです。つゆはキリッとした辛さが際立つ辛汁でした。(もりつゆに蕎麦をたっぷりつけて食べる人にはきついかも)
店主に話を伺いますと、上野藪蕎麦で修業されただけあって、丸抜きを石臼で挽いたものを二八で打った蕎麦が信条のようです。江丹別の蕎麦を仕入れていることを始め、基本的には上野藪蕎麦のやり方を踏襲されているとおっしゃっていました。「玄蕎麦を挽いた蕎麦や十割の蕎麦は……」と聞きますと、「それはちょっと……」と返され、あくまで食感と喉ごしに重きを置いた抜き実の二八そばにこだわりを持っておられるようです。店主の「お江戸の…..」という言葉遣いでもわかるように、ご自分が修行した東京の地、そして上野藪蕎麦に大いに誇りを持っておられるように感じました。締めに出されたデザートのぜんざいも辛党の小生にも満足のゆくものでした。本日の食味体験は上野藪蕎麦をはじめ都内の蕎麦屋巡りに対する小生の憧れがますますます募るものになりました。ご馳走様でした。
(レポート/おらあ蕎麦っ食いだぜ)
【 店の電話番号 】
076-252-8838
【 住 所 】
〒920-0836
石川県金沢市子来町55-14
【 アクセス 】
JR北陸本線 金沢駅 バス7分
北陸鉄道バス 橋場町停留所 徒歩5分
JR北陸本線 金沢駅 車10分
【 営業時間 】
11:30~15:00
(L.O.14:30)
【 定 休 日 】
年中無休
【ひとり分の平均的な予算】昼のみ
1,500〜2,000円
【 予 約 】
予約可能
【クレジットカード】
不可
【 個 室 】
なし
【 席 数 】 席
全席数24席
【駐 車 場】
専用無料4台
【 煙 草 】
全席禁煙
【アルコール】
ビール 日本酒 アルコールフリービール
【店のホームページ】