そば処 高美亭本店 (長野県軽井沢町) 避暑地軽井沢駅前に佇む明治40年創業の長年愛されるお蕎麦屋さん
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食味体験レポート、記念すべき1回目は地元軽井沢のお店を選ばせてもらった。
そば処信州、例外なく軽井沢にも美味しい蕎麦屋がたくさんあり、軽井沢駅には駅そば発祥の地の看板を掲げている立ち食いのお蕎麦屋さんもある。
その駅の階段を降りたすぐに佇む老舗のお蕎麦屋さんが本日の目的地。明治40年の創業、現在は4代目のご主人ということで100年余りに渡って伝統の味を守り引き継いでいる。
6月の下旬、大阪では本日よりG20が開催される。昨日発生した台風も関東の南側を通過、その後東の海上に抜け、雨も止んだ。ここは避暑地軽井沢といえど、本日は蒸し暑い。だが流石の観光地、駅の周りのレンタサイクル屋には家族連れののインバウンドが、駅構内には観光客らしき姿も見られ軽井沢らしい雰囲気が漂っている。
午前11時過ぎ、開店間もない時間にお店に訪れた。気候のせいか、入り口の扉は全開にしてお客様を迎え入れていた。私以外の入客はまだ無かった。これから観光客やインバウンドなどで賑わうのだろう。
軽井沢には別荘族も多く、洗練されたイメージやオシャレなお店も沢山あるが、ここは昔ながらの町のお蕎麦屋さんといった店内。竹の柱細工、テーブルを区分けする黒い木製の仕切りなど和のテイスト、扇風機の風情も加わりその気取らない雰囲気が良い意味で軽井沢っぽくなくなんとも心地よい。
店内の壁の上段には360度に近いくらいグルッとサイン色紙が飾られている。その数ざっと70〜80枚。年季の入った色あせたものもあり、長年に渡っていかに周りから愛されてきたお店なのかということが垣間見える。
席に着きメニュー表に一通り目を通したが実は注文するメニューは天ぷら蕎麦にすると朝から決めていた。話は逸れるが、蕎麦と天ぷらってなんであんなに合うのだろう。無性に食べたくなる時が幾度も訪れる。豚カツとカレー、天ぷらと蕎麦…日本人に生まれて本当に良かった。
迷うことなく天ざるそばを注文し、しばし待つ事に。スタッフは男性1人と、主人の奥さんらしき方か、年配の女性スタッフ1人、奥の厨房では3人目のもう一人がいらっしゃる。その方がこのお店のご主人か。そこから天ぷらを揚げるパチパチとした油の音が聞こえてくる。かたや私の後方上段に設置してあるテレビからはG20のニュースを告げる音声だけが耳に届いてくる。もちろん私には気難しい政治話よりも、天ぷらを揚げる音のほうが俄然心地よく響き、休日のお昼にお蕎麦をいただく幸せを改めて噛みしめる。きっとその時の私の顔はほころんでいるのだろう。一度自分で見て確かめてみたいものだ。
程なくして注文した天ざるそばが運ばれてきた。「料理の写真とっても大丈夫ですか」という質問に「どうぞどうぞ、いいですよ」と笑顔で答えてくれた女性のスタッフ。「一緒にお撮りしましょうか」「本店は初めてですか」などと声をかけてくださり、その笑顔と気さくな接客に和まされる。
やっぱり天ぷらと蕎麦の並びには華がある。もう一度ここでもほころんでいるであろう顔で全貌を見渡す。蕎麦の形状は平打ち麺だ。私自身平麺というものにはあまり出会ったことがなく「ほーっ」と心の中でつぶやき関心を示している自分がいた。こういう形もあるんだなあと。
幅はそれほど広いといった印象ではなく平らな面じゃない方の細さが薄い分、淡い色彩も相まって全体的に軽い感じに見える。表面にはつやがありみずみずしく、黒い小さな粒が練りこまれているのがわかる。全体がピンクがかった色に見えたのは照明のせいか。
さて味に関して。初めにつゆにはつけずに蕎麦だけで味わってみた。見た目通りに柔らかく、かといって決してコシがないわけじゃない、無理なく自然に噛んでいく力で切れていく。最近は東京などの立ち食い蕎麦チェーンなどで機械打ちされたコシ固めを強調したような、力を入れて強く噛みしめるお蕎麦を食べることがあったので、その優しい食感には懐かしさというかホッとしたものを感じた。
必然的に喉ごしもスルっと喉の奥を入っていく感覚。香りは後からかすかな甘み、そして蕎麦の香りも鼻を抜けていく感じが最後の方にやってくる。
つゆは甘過ぎず、また色の見た目通り、濃くなくそして辛口でもなく優しい味わい。かすかに鰹の香りが感じられる。そして海苔のかかった蕎麦もあまり経験したことがなかったが、経験が少ない分、新鮮であり今後クセになりそうだ。
海苔と蕎麦とつゆ、その三位一体となったハーモニーや味わい、海苔という磯の個性的な香り。素直に美味しい。
天ぷらについて。衣に関してはサクサク派ではなく、比較的厚めのしっとり派。薄くサクサクが洒落た軽井沢だとすれば、やはりここでもい良い意味で軽井沢らしくないホッとする庶民派だ。(例えはあくまでもイメージです)
太くてまっすぐ長〜い大きな海老がその存在感を示すが如くドーンと横になって鎮座している。その上に務めるのが名脇役のナス、カボチャ、レンコン、大葉、そして地元スターのモロッコインゲン(おそらくモロッコインゲンって軽井沢周辺の特産だったような)。個人的には椎茸や舞茸のどちらかがここに連なっていてくれたらオールスター集合だったが、その機会はいずれ訪れるであろうことを夢見ていよう。
モロッコインゲンのホクホクと香ばしさ。ナスの油を吸い込んだジュワッとした旨み、れんこんのサクサク、そしてやっぱり最後はその大きくて太い海老を口いっぱいに頬張った。口中に広がるエビの旨み、その例えようのない幸せを感じる瞬間で締めくくった。
最後に。うまく言えないのだが、麺もそう、蕎麦つゆ、天ぷら、天つゆに関しても、その味わいや食感、喉越し、全てにおいて一言で表現すると「とにかく全てが優しい」といった印象が強く感じられた。
そして先程の女性スタッフ、お会計の際も、気さくに話してくれ、最後まで優しい時間だった。
(レポート提出/4連覇)
【 店 名 】高美亭
【 読 み (ひらがな)】たかみてい
【 店の電話番号 】0267–42–2481
【 住 所 】長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢東8–2
【 アクセス 】軽井沢駅北口より階段アプローチを右方向へ降り、軽井沢入口交差点方向すぐ右側。
【 営業時間 】11:00〜19:30 8月は〜20:00
【 定 休 日 】年中無休
【ひとり分の平均的な予算】昼 1500 夜
【 予 約 】繁忙時は不可だが、団体や状況により可
【クレジットカード】不可
【 個 室 】無
【 席 数 】 34席 テーブル席 4席×6、2席×2、6席×1
【駐 車 場】 有
【 煙 草 】
【アルコール】有
【店のホームページ】