いなか蕎麦なごみや(長野県小諸市) 地元客で賑わう普段使いのお蕎麦屋さん
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梅雨明けが待ち遠しい休日、私の地元軽井沢は7月というのに、寒さまでは感じないがとても涼しい朝を迎えた。
そして今日は趣味でこの春より始めた蕎麦打ちを行いに、小雨が降る中、車で約40分の所にある小諸市の蕎麦工房兼教室まで車を走らせた。私に蕎麦打ちを教えてくれるその先生は、知人のお父様でこの道55年、蕎麦に対する情熱、そして打ち込む姿、風格はとても追いつけるものではない。
11時過ぎには蕎麦打ちを終え、さてこの500gで仕上げた自分の蕎麦、本日の出来栄えはどんなものか早速自宅に帰って味を見てみよう、そんな気持ちで帰路を車で走らせる。
ただしだ。真っ直ぐ家に帰れるほど途中で誘惑が無いわけではない。そう、帰路の途中には以前より私が贔屓にしているお蕎麦屋さんがあるのだ。お腹も空いていたし、時間もちょうどいい。しばらく伺っていなかったこともありあっさりとその誘惑に負けてしまった(笑)
今回ご紹介するのは国道18号線、平原交差点の角にある小諸市のお蕎麦屋さん。開店して10年も経っていない比較的新しいお蕎麦屋さんである。
一軒家風の建物の周りには幟や縦型の電光掲示があり遠くからでも存在感を示している。
到着したのはAM11時半頃。入り口の引き戸を開けるとすぐに立て看板のメニュー表が立てかけてある。お蕎麦は一種類。メニューはざるそばか天ざるそばの2種類(寒い時期限定のメニューもある)でそれぞれ並、大、特と蕎麦の量を選べるようになっていて、メニューを決めたらさらにもう一つの引き戸があるのでそこを開くと店内だ。
フローリングと白い壁、奥には畳の小上がりに置かれたテーブル席もあるが、余計な装飾などはなく全体的にスッキリとした印象。また広い空間のトイレも含め、とても清潔感を感じる。
入り口すぐ左にあるカウンターで女性の店員さんに天ざるそばの大を注文し、お会計を先に済ませる。 天ざる大で千円ちょっとで済むなんて…。
そのカウンターのレジのすぐ奥の厨房からも「いらっしゃいませ」という爽やかな声が聞こえてくる。そう、ここの店長さんであろう白衣姿の男性が厨房で作業されている。ひとりで厨房を切り盛りしているにもかかわらず、いつもこちら側にお顔を向けてちゃんとお客様の顔を見てから挨拶をしてくださる姿はすごく印象がいい。
スタッフは先ほどの女性店員と合わせて2名。
席数は多くないが、お昼時にはお客様が集中して来店するので息の合った動きが必要になってくるであろう。案の定、私の後にも2名様客が2組、お一人様と次々に来店されてきたが、テキパキと慣れた動きで接客をされていた。
番号札を渡されて空いている席に着くのだが、ここのお店の特徴は、蕎麦つゆと薬味は好みの量を自分で盛るセルフ式である。蕎麦つゆは温製と冷製の2種類、薬味はワサビとネギ、そして白のすりごまといりごま。好きなだけ盛れるなんてネギ好きの私には嬉しいスタイルだ。たっぷりのネギとワサビ、冷たい蕎麦つゆをよそって再び席に着く。
間も無くしてお蕎麦と天ぷら、そして蕎麦湯も運ばれてきた。
まず目を引くのが、鮮やかな朱色が塗られた眩しいほどの漆器の鮮やかさとその大きさ。
これだけの量で天ぷら付きでこの値段で頂けるなんて、東京はおろか、地元でもなかなかお目にかかれないと思う。
その安さはゲストのこちら側が逆に心配になる位だが、セルフサービスの面と最小限のスタッフの切り盛りでこのコストパフォーマンスを実現しているのだろう。
客層を見ると、サラリーマンらしきワイシャツ姿の方や、仕事の作業着の方なども次々に来店してくる。各々がセルフ方式に手慣れた感じで、昼食利用としても地元民の方が立ち寄り易い、普段使いで気軽に利用される、そんな存在であることが垣間見える。
さて、先ほど私が贔屓にしていると書いたが、このお店を好きになった理由は何と言っても特徴的な麺にある。挽きぐるみの全粒粉で作られたであろうその表面にはホシがいっぱいに散っている。
一見野性的な見た目だが、表面は透明感がありツルツルしていて口に含むと舌の上を滑っていく滑らかさがある。食感は弾力がありやや硬めだが、ネッチリもしていてこの絶妙な歯ごたえとホシのツブツブ感が噛みしめるたびにプチプチと感じられ癖になる。蕎麦の香りは多くないが、甘みがジワジワと出てくる。麺自体がつるんとしているので、喉越しもいい。
この麺の感覚は、他のお店ではなかなか味わえなく、このお店最大の特徴である。やはり蕎麦の種類一本でいくだけの店主の自信作なのだろう。定期的にこの食感や喉越しの感覚を味わいたくてこのお店に訪れたくなるのも、すっかり私はその麺の虜になってしまっているからであろう。
蕎麦つゆは薄めの味付けで甘みがあるのが特徴。蕎麦の香りを楽しむよりも、たっぷりとつゆにくぐらせて頂くのがこのつゆを堪能する為のベストであろう。
そして各テーブルには、蕎麦屋では珍しく胡麻油が置かれている。特別使い方の案内はしていないし、私はまだ試したことがないが、普段使いの常連客にいろんな食べ方のバリエーションを楽しませるような店主からのメッセージなのかもしれない。おそらくトッピングのごまやネギをつゆの中に加えて、胡麻油と一緒につけ麺風にもできるのだろう。そういえば東京で一世を風靡した某蕎麦屋で肉蕎麦をラー油で頂くようなお店があったような。
薄めの衣の天ぷらは舞茸、茄子、インゲン、イカ、海老。海老に関してはミディアムレア、絶妙な火入れを堪能し、蕎麦湯で締めくくった。
器を下げるのもここではセルフ式。返却口まで器を運んでご馳走様をいうべきところだったのだが、驚くべくなかれ、なんとお代わりを注文してしまったのだ。
「もう一度注文してもいいですか」と問うと女性店員の方も驚かれた表情。
久しぶりの来店だったし、やっぱりこの蕎麦はいくらでもお腹に入っていく中毒性がある。
ざるそばの並を注文したのだが、ざるそばにはきんぴらが付いてくる。柔らかく、甘く優しい味が特徴だ。蕎麦つゆには胡麻を加え変化を楽しみながら2杯目もサラッと頂いた。
お腹も心も満たされ、「ありがとうございました」という清々しい店主の挨拶を受けお店を後にした。
そうだ。蕎麦打ち教室で打った私の蕎麦があることを思い出した…(笑)
(レポート提出/4連覇)
【 店 名 】いなか蕎麦なごみや
【 読 み (ひらがな)】いなかそばなごみや
【 店の電話番号 】0267-25-7701
【 住 所 】長野県小諸市平原1063-1
【 アクセス 】国道18号線平原交差点側
【 営業時間 】11:00〜16:00(ラストオーダー15:40)
【 定 休 日 】月曜日(祝日の場合、翌火曜日)
【ひとり分の平均的な予算】昼800円〜900円 夜
【 予 約 】
【クレジットカード】
【 個 室 】無
【 席 数 】 24席
テーブル席4席×2 2席×2 8席×1 座敷4席×2
【駐 車 場】有
【 煙 草 】
【アルコール】有
【店のホームページ】無