蕎麦切茶房 戸隠日和 (長野県戸隠) 戸隠で十割そばなら、この店/日本蕎麦保存会
《全国 おいしい蕎麦屋ランキング》 写真と文=片山虎之介
戸隠そば、新しい時代の旗手として、若いお客に人気
伝統あるそば処、戸隠で、新しい時代を切り開く旗手と目されているのが、『蕎麦切茶房 戸隠日和』です。
この店の特徴は、十割そばにあります。
戸隠の道路沿いには、数多くのそば店が並んでいますが、十割そばを供している店は、ほとんどありません。
二八そばが悪いわけではないのですが、二八と十割では、おいしさの内容が違います。
二八は、食感を楽しむ蕎麦。十割は、香りと味を楽しむそばなのです。
香りと味と食感が、ひとつのそばに宿る蕎麦切は、滅多にお目にかかることはできません。
普通の蕎麦屋さんにこれを求めるのは、無理難題に等しい要求になります。
戸隠周辺の地域は、長野県と新潟県境の、おいしいソバを栽培するには、これ以上ないという好条件の土地です。
こういう土地で育ったそばなら、香りと味を、ぜひとも楽しみたいもの。十割そばを食べなくては、いちばんいいところを置き忘れてしまったような気分になります。
『蕎麦切茶房 戸隠日和』なら、その要望に応えてくれます。
戸隠産の極上のそばの、濃厚な風味がどんなものなのか、ぜひ、体験してください。
ソバの栽培から自分で手がける、こだわりのそば職人
主人、山口茂さんは、自ら畑に立ち、ソバの栽培をします。
店だけでも十分忙しいのに、そのうえなぜ、栽培までするのかというと、山口さんは、自分の理想と思い描くそばを打つために、必要なそば粉を確保したいのです。
『蕎麦切茶房 戸隠日和』の十割そばは、製粉時に黒い殻も少量挽き込み、麺に小さなホシを散らしています。
見た目からも、そのおいしさが伝わってきますが、何よりも特徴的なのは、その食感です。
つるりとのど元を滑り落ちる、二八蕎麦に近い滑らかなのどごし。十割蕎麦としては、かなり個性的な蕎麦だといえるでしょう。
山口さんは、こういう蕎麦にしようと思った理由を、次のように語ります。
「戸隠蕎麦は、のどごしが大切です。私は子供のころから二八そばを食べ慣れていて、のどごしの良さは、私のおいしさの基準の、欠かすことのできない要素になっています。十割蕎麦の香りや味わいを生かしたまま、なんとかのどごしの良い蕎麦を作れないかと思い、栽培から製粉、蕎麦の打ち方まで工夫を重ねて、この十割そばを完成させたのです」
二八そばの食文化の地、戸隠で誕生した、二八そばの食感を備えた極上の十割蕎麦。日本各地に、いろいろなそばの食文化が存在しますが、そばの基本ともいえる、最もシンプルな十割そばでさえ、その土地土地の食文化によって、これほど大きく表情を変えるものなのです。
『蕎麦切茶房 戸隠日和』の十割そばを食べると、そばという食べ物が、いかに懐が深いかということに、あらためて驚かされることでしょう。
一本棒・丸のしの名手が打つ極上のそば
山口さんの蕎麦打ちの技法は、「一本棒・丸延し」。戸隠伝統の打ち方です。
この方法で打つと、つながりの良い、弾力に富んだ蕎麦を作ることができるのです。
ともすれば、ぼそぼそした食感になりがちな十割そばのおいしさを引き出すには、最適な技法といえるでしょう。
『蕎麦切茶房 戸隠日和』の十割そばが、二八と見紛うばかりの滑らかな食感を備えているのは、山口さんが「一本棒・丸延し」の達人であることが、大きな理由なのです。
【 店の電話番号 】
026-254-2707
【 住 所 】
長野県長野市戸隠2924
【 アクセス 】
JR長野駅から、車で約40分。
定期バスもあり、戸隠そば博物館前下車。
【 営業時間 】
10時30分~15時30分
(長期連休の場合は、16時まで)
【 定 休 日 】
水曜日
【ひとり分の平均的な予算】
1000円〜
【 予 約 】
【クレジットカード】
可能
【 個 室 】
なし
【 席 数 】
48席
【駐 車 場】
あり
【 煙 草 】
禁煙
【アルコール】
あり
【店のホームページ】
【地図にリンク】
https://goo.gl/maps/EtAdFE3zoafWL6pM9