蕎麦DAYS (新潟県新潟市)🌟「パクチーそば」虎は大好き/写真と文=片山虎之介
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『蕎麦DAYS』の一番の人気メニューは「肉ベジ」。訪れる客の4割がこれを注文するという。
また東南アジアの香草・パクチーを生かした「パクチーそば」は、若い世代を中心に、人気が衰えないロングセラーの商品となっている。
『蕎麦DAYS』には、斬新なメニューが目白押しだ。いや、斬新というよりも、魅力的なメニューと言い換えたほうが適切だろう。あれも、これも食べてみたくなる、オリジナリティーにあふれた商品が並んでいる。
『蕎麦DAYS』は、新潟駅からローカル線にのって30分ほど走った小さな町にある蕎麦店だが、平日の客数は平均して50から60人。休日は150から160人が訪れるという。小さな地方都市という環境で、この来客数は、かなりの繁盛店といっていいだろう。
同店の人気の理由を、店主の中山義和さんは次のようにいう。
「店を始めるときに考えたのは、今まで蕎麦屋に行ったことがない人たちに喜んでもらえるような店にしたいということです。新潟では、ラーメン店には行っても、蕎麦屋に行かない人が少なくないのです。蕎麦屋は、値段が高くて量が少ないとか、おなかいっぱいにならないとか、そういうイメージが強いのです」
店で供するメニューは、従来の蕎麦屋という概念を取り払って考えた。
地元は、へぎ蕎麦が郷土蕎麦で、既存の蕎麦店も多い。
「今までなかったスタイルの店にするということは、地元で営業している他の蕎麦店との競合も避けることができて、無駄なトラブルをなくすという長所もありました」
スタイルが競合しないということは、客層もそれまでとは違う人たちを取り込めるということだ。『蕎麦DAYS』には、それまで蕎麦には興味を持たなかった人たちも、毎日、数多く、訪れる。
近くに大学があって、学生が来るとか、そういうことではない。商品の値段は高めで、学生向きの価格設定ではない。主に30から40歳代の客が中心で、60歳以上の、へぎ蕎麦よりも普通の日本蕎麦が食べたかったという客も多い。
「うちは、パクチーそばとか出しているので、変化球の蕎麦屋だと思われがちですが、メニューには、もりそばなど、基本の品書きはきちんと入っていますし、蕎麦つゆは、日本蕎麦本来の味を追求して、しっかりしたつゆを作っています。ただの変化球投手でないことは、わかるお客さんは、わかってくださいます」
と、中山さんは笑う。
かえしは、地元の醤油を使ったものと、大手の醤油を使ったかえしと、二種類を作る。それをメニューごとに、微妙に配合を変え、ブレンドして使う。
「新潟の醤油は、ちょっと甘めで、優しい味を作ることができます。大手の醤油は、キリッとした感じに仕上がりますが、新潟の人は、もう少し優しい味が好きなので、二種類の醤油を使い分けるのです。地元の醤油を生かすことが、店の個性にもつながります」
日本伝統の醤油を生かした本がえしから、パクチーまで使って魅力的なメニューを作り続ける『蕎麦DAYS』は、外食産業が苦戦する今の業界で、蕎麦を新しいジャンルとして認識するという、画期的な試みを実践する存在だということができる。
同店が繁盛店になっているという結果は、顧客が求めている新しい世界がここにあるという、何よりの証左だといえるのではないだろうか。
日本人の国民食である蕎麦は、まだまだ発展する可能性が、大きく残されていることを実感する。
(写真と文=片山虎之介)
蕎麦DAYS
新潟市西区寺尾10-33 福田ビル1F
電話025-378-0706