純手打ちそば きむら (茨城県つくば市)  地元民に愛される名店で蟻巣石挽きの自家製粉と手打ちに拘った太い二八の田舎蕎麦を味わう

茨城県のおいしいそば屋

三寒四温の季節柄、日によっては初夏の陽気になる事も多くなってきた今日この頃。この日は朝からばかに暑い。僅かに湿気を含んだむわっとした重苦しい空気と照り付ける太陽の鋭い日差しは体力の消耗と共にひたひたと迫り来る夏の到来を予見させる。じんわりと汗ばむようなこんな日には、冷たいざる蕎麦をつるっと食べたくなるのが人情というもの。

今回訪れるのは「打ちそばとぉ言えばぁ~きむらさんだぁ~っぺねぇ。うめっからぁ」と地元の年配者達に言わしめるほど絶大な支持を得ている純手打ちそばの「きむら」さん。「此処の蕎麦を食べないと年が越せない」というファンも多く、年末に数量限定で販売される年越し蕎麦の予約が取れないと嘆く常連客の悲痛な叫びを伝え聞く、そんな店である。昼時にはいつも駐車場が満杯で長らく訪れる機会を逸していた店の一つでもある。

市内の大通りから脇道に入って直ぐ目の前に純日本家屋の店を構えるきむらさんは比較的アクセスし易い立地にあると言える。駐車場も店舗の前とは別に第2、第3の駐車場を増設するなど客の受け入れ態勢にも抜かりは無い。


紺地に白く「手打ちそば きむら」と染め抜かれた暖簾が店の白壁に映えて実に爽やかな印象である。高い天井と大きな窓から差し込む光で広々とした店内は明るく、入口正面に設置されたガラス張りの打ち部屋が我々を迎え入れてくれる。白木をふんだんに取り入れたシンプルな室礼はどこかホッとする安心感がある。平日のランチタイムを外しての訪問という事もあり、すんなりと入店するが意外にも先客は多い。女性店員さん達の「いらっしゃいませ~!」「お座敷とテーブルどちらにします?」と明るく威勢の良い声掛けに元気を頂ける気がするのは流石ベテランの成せる業である。入口に設けられた待合スペースの広さと椅子の多さが普段の混雑ぶりを如実に物語っている。年配の客が多くその殆どが三世代の家族連れや二人連れの地元常連客である。

この店では100%純国産の玄そばを契約農家から仕入れ、蟻巣石の石臼で挽いた挽きぐるみの自家製粉したそば粉で手打ちした二八蕎麦を昔ながらの重ねせいろで提供している。(通常はせいろ2枚。1枚363円で一人3枚まで追加注文可能、また1人前220円でもり汁の追加注文も可能)この日の蕎麦は北海道産無農薬有機栽培のキタワセ(新そば)で売り切り次第終了である。喉越し皆無の太い二八蕎麦は好みがはっきりと分かれるところであるが、此処へ来る客の殆どが何故か「天せいろ」を注文している。天ぷらそばや鴨なんばん等の温蕎麦か冷たいぶっかけで食べる方が此処の蕎麦は断然美味しいと個人的には思うのだが…。

運ばれて来た温かいほうじ茶を啜り、メニュー表の中から迷わず「湯葉おろし」を注文するが湯葉の在庫切れであえなく断念。「なめこおろし」という気分でも無いので仕方なく「天せいろ」と単品で「いくらおろし」を注文する。今日はおろしが切れていなくて本当に良かった!BGMの無い店内に暫し鳴り響くのは、客が蕎麦を啜る音だけである。


程なくして運ばれて来た王道の天せいろ。年季の入った黒い重ねせいろはどこかレトロで懐かしく太い蕎麦の存在感を感じさせる迫力に満ちている。太く黒っぽい麺の中には細かな黒い星が点在している。1枚の量はそれ程多くないが2枚あるので腹が満たされるには丁度良い感じである。瑞々しい麺はやや硬く、しっかりと噛んで食べる蕎麦である。二八のつるっとした喉越しとは無縁のこの蕎麦は歯切れも良く噛めば噛むほどに蕎麦の香りが立ってくる。顎が鍛えられそうなくらいの歯応えと程良いざらつき感を感じさせるこの蕎麦は、やはりぶっかけで楽しみたい。鰹が効いた薄赤茶色の中辛口のつゆ。微かにほわっと甘さが漂うこのつゆは円やかな本わさびの辛さとも相性抜群で、どっぷりと蕎麦を浸して食べるのが正解である。


1枚目を平らげ、続く2枚目は器にたっぷり盛られたポン酢が効いたいくらおろしを別皿に取り分け蕎麦を絡めてぶっかけ風にして頂く。これがまた非常に合う!いくらの塩気とおろしポン酢に絡まった蕎麦は、ふわっと磯の香りを放つ刻み海苔と共に口に入れると絶妙の味加減でさっぱりと頂ける。もう止まらない美味さなのである。


天ぷらの具材はシンプルに海老、茄子、南瓜、さつまいも、紫蘇で衣は厚いがサクッとしている。辛みの強いネギは少量、本わさびと共に白濁していながらもさっぱりとした蕎麦湯に溶かし込んで頂く。ネギの刺激が鼻を通り抜けシャキッと目が覚める感覚を味わう。
この店では茹で時間20分のうどんも提供している。冬場の鍋焼きうどんなどきっと美味いに違いない。ファミリー層に長らく支持されているというのも頷ける。次回は是非とも天ぷらそばなど温蕎麦を頂いてみたいお勧めの店である。

(レポート 玄)

 

【 店の電話番号 】
029-858-1508
【 住 所 】
茨城県つくば市西岡418-276
【 アクセス 】
車(つくばエクスプレス万博記念公園駅から車で5分)
(つくばエクスプレス研究学園駅から車で5分)
【 営業時間 】
火曜日~金曜日と土日祝日(但し蕎麦が売り切れ次第終了)
昼 11:30~15:00(LOは14:30)
夜 17:30~20:00(LOは19:45)
【 定 休 日 】
月曜日、第4火曜日
【ひとり分の平均的な予算】
約1000円~2000円
【 予 約 】
不可
【クレジットカード】
不可(電子マネー不可)
【 個 室 】

【 席 数 】
約68席(4人掛けテーブルが4つ、座敷4人掛けテーブルが8つと反対側の小上がりに4人掛けテーブルが5つ)
【駐 車 場】
有(店の前に約13台と他に第2、第3駐車場も有)
【 煙 草 】
全席禁煙
【アルコール】
日本酒、焼酎、ビール
【店のホームページ】
Facebook有

 

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