いずるや (栃木県栃木市) 独特の風景を眺めて辿り着く松薪釜茹で蕎麦 

栃木県のおいしいそば屋

栃木県栃木市出流町。人口100人に満たないこの集落に行くとき、そこに向かうまでの非日常の景色が美味しいそばへの期待感を醸成してくれます。この地域の特産でもある石灰を切り出している山と山の間の谷を走る一本道。石灰採石場の間をすり抜け小川と並走したら、パッと目の前に集落が開けます。


その集落の入口、一軒目にあるのがいずるやさんです。ここ出流そばを提供する出流町は出流山満願寺という、真言宗智山派旧別格本山のお寺の門前町として栄え、古くから巡礼者にそばを振る舞ったことからも長年そばを愛してきた地域であることがわかります。

駐車場に車を止めると、目に飛び込む3枚の手書きの看板。人情味溢れる文字に引き寄せられて行ってみると、左右の看板は川魚料理を謳っていますが、中央は「こだわりの松薪にて、釜ゆでそばです。」と、大寒の前日、ますますお腹がすいてきました。


少しの階段を登り、引き戸を開けると、一枚板のテーブルや黒い光沢のある柱や梁に趣を感じつつ、ちょっとノスタルジーに浸る店内が昭和の香りを感じます。

入り口を入ると左が地元の農物産お土産が置いてあり、右手に進むとガラス張りの麵打ち場がメインステージのような位置に。というのも、面打ち場の真正面に接してカウンターがあるのです!当然そこに陣取り、麵場を正面にみながらそばをすすれる至極の時間!となる予定でしたが、行った時間も遅く、その日の麺打ちは終わってました。。。


出流そばの名物といえば、盆ざるそば。そばを、お腹いっぱいに食べたいという方に一升、五合とあるのですが、一人では食べきれないので今日は違うものを注文します。メニューには、この地域特産の「舞茸」を中心に海老や、各種野菜は用意されていますが、季節限定で、12月中旬〜4月は「ふきのとうの天婦羅」4月中旬〜5月中旬は「たらの芽の天婦羅」4月下旬から5月下旬は「こしあぶらの天婦羅」、7月上旬から9月下旬は「みょうがの天婦羅」があり、季節感とともにお蕎麦を楽しむこともできます。


サイドメニューとして、「そばがき」、「刺身こんにゃく」名物の「柚子大根」(10月〜4月)とともに、うなぎ、鯉、ドジョウなどの川魚を使ったお料理もあり、車で来ていなければ、一杯やりたくなる…メニューの充実ぶりです。

私は「野菜天ざるそば」(1100円)を注文。

注文後店内を見回すと、数えきれないほどのサインが壁上部に飾ってあり、中には「えっ!!」と驚く様なビックネームも!また、何気ない気持ちで行ったのですが、ポスターを見ると「出流寒晒しそば」が明日から解禁となっている!大寒の日に大寒祭を行い、滝行、そばの奉納などを行なうという、そばのための祭、、、ということで明日も来ようと心に決めました。「滝行は皆様にお任せして、大寒の日にバイク行くという修行をしながらくるぞ!」なんて自分勝手な想いを馳せているとすぐに天ぷらが運ばれてきました。


天ぷらは茄子、ししとう、ごぼうと人参のかき揚げ、舞茸とボリュームがあり、そばつゆと共通の天つゆで食べるスタイルです。蕎麦猪口は別にありますので、そばが油にまみれることはありません。そばが来る前に、そばつゆの味が気になり、つゆにつけてししとうを食べちゃいました。

キリッとした醤油の深みを感じるカツオの濃いかえし。松薪を使っているせいか、薫香を感じる。ちょっとした渋みも。最近甘口を多く食べていたので、こんなにガツンとしたそばつゆは本当に久しぶりでした。そこに遅れてそば登場。一人前にしては結構盛りがよく、挽きぐるみを配合しているのか、そば殻の黒み、黒に近いホシが表面の光を反射するみずみずしい麺のツルミの奥に見える。田舎蕎麦を予想していたので色は思ったほど黒くないが、コシがしっかりしていて粘弾性よりもキレのある硬さのしっかりしたそばです。表面はざらつきがあるが喉越しはとても滑らかで、口に入れた瞬間に甘みのある香りが広がる。噛むと爽やかな香りが濃くなり、そば自体のみずみずしさを感じながらプツっと切れていく。

キリリとしたつゆと相まって力強い味のなかに繊細な香りを蓄えている、そんなおそばをお腹いっぱいに味わえて大満足でした。

食べ終えて思ったことですが、奇しくも大寒前日、しかも夕方に訪問し、量が多く満足感があったので、寒晒しはまたでいいかなと思ってましたが、次の日朝起きたら寒晒しを食べたくなり、行ってしまいました。出流につながる一本道は混雑でしたが、バイクだったのでスイスイ♪到るまでの道中の雰囲気とお蕎麦を味わいに、また近いうちに再訪します。

(レポート提出/伍代目)

【店名】いずるや

【読み(ひらがな)】いずるや

【 店の電話番号 】0282-31-0638

【 住 所 】栃木県栃木市出流町141

【 アクセス 】JR両毛線栃木駅より出流行きバスで約50分、出流橋下車。
徒歩約1分。満願寺参道入り口

【 営業時間 】【10月~3月】11:00~18:00【4月~9月】19:00まで営業

【 定 休 日 】 毎週水曜日/第3週火・水曜日

【ひとり分の平均的な予算】昼 1000円  夜

【 予 約 】可

【クレジットカード】可

【 個 室 】座敷有り

【 席 数 】 50席程度

【駐 車 場】 有

【 煙 草 】屋外喫煙所有

【アルコール】有

【店のホームページ】有

【地図にリンク】https://goo.gl/maps/iXQtgVxZyY4bPyv97

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