関東地方のおいしいそば屋

散歩でよく利用する永代通り。東京メトロの木場駅と東陽町駅の間に、以前から気になっていたお店があります。この辺りは、昔は「洲崎」と呼んでいた埋立地で、昭和30年代初頭まで遊郭があり、特に戦後は「洲崎パラダイス」の名で遊客に親しまれた歓楽街だったところ。今回レポートするのは、そんな歴史のある地域にあり、交差点の一角に大きく「志の田そば」と目立つ看板が掲げられているお店です。


このお店には、看板を中心に永代通り側と、それに交差する道側の2か所に入口があります。永代通り側の入り口から入ろうと思い、のれんの上の看板を見てビックリ! あれ、「花村」ってあるぞぉ。志の田のお店と違うのか? 慌ててもう一つの入り口に向かいます。するとそこにも「花村」の文字。ほかには「志の田そば」の入り口は見当たらないので、志の田そばは諦めて、「花村」というお店に入店しました。

店内は広々としており、すべて木製のテーブルとイスに“食堂”の雰囲気が漂います。この時間でもお客さんは8割の入り。地元の人が多いようです。店内の一角、高いところにテレビが置かれており、ワイドショーが流れています。


4人掛けの席に通されて座ると、さっそくメニュー表の1枚に目がとまりました。ランチセットのメニュー表でした。「もり かけ」と「志のだ」の2列あって、値段の違いがあります。ようやくそこで、「志の田」はこのお店のメニューだということがわかったのです。

大看板の「志の田」とはどんなものなのか(もうどんなものであろうと頼むことは決まっていましたが)、シャキシャキの江戸っ子感あふれる風体の花番さんに聞いてみました。すると、「志の田そば」とは、つゆの中に油揚げ・揚げ玉(天かす)・長ネギが入っているそばのことだそうです。

で、もりそばのつゆの場合、基本は冷たいつゆだが温かいのもできるとのこと。ご飯ものとのセットは食べられないので、私は「志の田の大もり」を冷たいつゆで注文しました。

待つ間にも、お客さんの出入りは多く、町の人気店であることがうかがえます。ほとんどのお客さんが「志の田」を頼んでいました。

数分後、目の前に登場した「志の田そば」ですが、大もりは文句なし、気持ちいいくらいの大盛り。この様子だと、おそらく並もりでも満足感は得られるものと確信します。

麺は細からず太からず、ごく一般的なそば屋さんの麺の太さです。色は浅めで、星はほとんど見えません。水切れ具合は十分な感じです。


その麺の量の多さからか、顔を近づけただけで蕎麦の香りがしてきます。

2、3本啜ってみました。長さはほどよく、麺の絡みもなく基本的に食べやすいです。のど越しも良いそばだと思います。噛んでみるとコシもあり“コクッ”とキレますが、モチモチ感はそれほどありません。

つゆは、油揚げ・揚げ玉・ネギが、さらに甘みを演出しているようですが、塩味と甘味のバランスよく、出汁の香りも控えめで、程よい感じ。麺に絡めて食べ始めると、油の浮いたつゆがさらにのど越しを良くして、一気に完食。


つゆの器にそば湯をそのまま入れて飲むには、味が濃すぎるので、そば猪口をもらいました。まずそのままそば湯だけを飲んでみます。ちゃんとした白濁した“ゆで汁”です。蕎麦の香りもします。そば湯用に作ったドロッとしたのも悪くないのですが、私はこのくらいが一番好きです。口の中も洗い流せますし‥‥。

初体験の「志の田そば」でしたが、美味しかったです。志の田そば、最高!

※後日、食べ物用語辞典で「志の田そば」を調べてみると、ちゃんとありました。

そこには、「しのだそば(信太そば、信田そば、篠田そば、志乃田そば、志のだそば)は、甘辛く煮た油揚げをトッピングしたそばのこと。関東のきつねそば、関西ではたぬきそば。単に『信田(しのだ)』ともいう。そばのつゆに油揚げと揚げ玉がはいったものもある」と書いてありました。昔からあるメニューだったのですね。

ごちそうさまでした。

(レポート提出/ 木曽馬ジョージ)

【店名】そば処 花村

【読み(ひらがな)】そばどころ はなむら

【 店の電話番号 】03-3647-5858

【 住 所 】東京都江東区東陽3-5-8

【 アクセス 】東西線木場駅から4分、東陽町駅から5分

【 営業時間 】11:00~15:00、17:00~20:00

【 定 休 日 】日曜、祭日

【ひとり分の平均的な予算】昼   夜

【 予 約 】

【クレジットカード】

【 個 室 】なし(ランチ時は禁煙)

【 席 数 】44席

【駐 車 場】なし

【 煙 草 】可

【アルコール】ビール、日本酒、焼酎など

【店のホームページ】(東陽町商店街のお店紹介ページ)http://www.toyost.jp/syouten/1bu/insyoku/hanamura/hanamuratop.htm

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