私がやぶそばの名店と言われて思いつくのは、神田、並木、池之端、上野、浜町くらいでした。今回、会社の同僚に教わって「吾妻橋やぶそば」を知りました。

お店の場所を調べると、ウィークデイの昼休みに行くにはちょっと距離がありすぎます。でも同僚の「旨かったぜい！」という言葉が耳に残り、その週は仕事が手に付きません。そして日曜日、朝から綿密な計画を立てました。お店は15時までやっていることを確認して、13時30分を到着時間に設定、浅草をぶらりしてからの入店を計画。

お店は“駒形橋”の袂にあったのですぐに見つけることができました（お店の住所は“吾妻橋”）。橋のすぐ袂、六差路になっている一角にあるため、交通量は多く、店前の歩道の人通りも多い場所です。

予定より10分早い13時20分到着。のれんをくぐり扉を開けようとしたその時です。店の中から若い男性の店員さんが出てきました。手には「本日終了」の札を持っています。まさに「閉店ガラガラ」の瞬間だったのです。あわてて声をかけたところ、店の奥に確認した後、入れてくれました（ラッキー！）。私の入店後にも3名ほどが店内に声をかけて尋ねていましたが、どうやら私がこの日のお昼は最後の客となったようです。

店内は、入口の左右につい立てがあり、入口脇の席に通された客も、出入りする客が気にならないように配慮されています。また、そのつい立を背に順番を待つ人の席も用意されており、人気店であることをうかがわせます。「終了」の札がかけられているこの時間でも中はほぼ満席状態でした。

メニューを見ます。「冷たいおそば」は「もり」が大（2200円）・中（1500円）・小（800円）の三種。他に、胡麻汁、おろし、納豆、そばとろ（とろろか？）、なめこおろし、山かけ、そして鴨汁。同僚に聞いていた「天せいろ」「天もり」はメニューにはありません。他に特に気になるような独自メニューもありません。「温かいおそば」のほうには天ぷらそば（1700円）があります。

花番さんにもりの大中小の量を聞くと、小がせいろ1枚、中が2枚、大が3枚分とのこと。私は「天せいろ」ができることを確認し、「中」で頼みました（小でも通常の並もり程度はあるので十分だと思いました）。

さてさて、膳が運ばれてきました。まずはそばから。

麺は細すぎず太すぎずといったところ。多少バラつきがみられる麺の太さに“手切り”の主張が見て取れます。

表面の適度なツヤで水切れ状態が良いことがわかります。見ただけでコシもありそうです。2、3本を手繰って啜ります。のど越しも良く、コシも歯切れが気持ちいい感じです。香りが際立つことはありませんでしたが、ひと啜りで、冷たくシメられた美味しいそばであることがわかりました。

つゆの量が少ないのは、味が濃いからでしょう。ダシの香ほのかで、塩味と甘味が強めのつゆですが、バランスは良いと思います。麺を3分の1ほど浸けるくらいでちょうどいい感じでした。美味しいそばです！

天ぷらは、小えびのかき揚げ（直径8センチくらい）が1枚というか、一かたまり。大根おろしの他に三つ葉ふたすじと柚子ひとかけが添えてあるのは嬉しいですね。小えびもぷりぷりで、衣のカラリ感もよろしく、美味しくいただきました。揚げ油の甘みも感じます。ただ、見た目も重視する私としては、三つ葉と柚子は付くものの、天ぷら（かき揚げ）に彩りがもう一つ。しし唐あたりが添えられると見た目もアップすると思うのですが‥‥。

そば湯は銅製の急須にたっぷり。別に猪口をもらって飲みました。トロリとしたもので、蕎麦の香りが立って美味しいそば湯です。濃い味のつゆを少したらすと、多少つゆの酸味を感じることができます。美味しい！

中もり天せいろで2400円（！）と値が張りましたが、好きなそばを最後まで美味しく感じながら食べることができ、また花番さんの対応も良く、満足感いっぱいです。そばって、そば屋っていいなぁ‥‥。

最後に、爪楊枝にも感動。先が平たく半円状になっているものは初めてでした。

ごちそうさまでした。

（レポート提出/木曽馬ジョージ）

【店名】吾妻橋やぶそば

【読み(ひらがな)】あづまばしやぶそば

【 店の電話番号 】03-3625-1550

【　住　所　】　東京都墨田区吾妻橋1-11-2

【 アクセス 】　浅草駅（東武・都営・メトロ）から徒歩5分

【 営業時間 】　11:30～15:00（蕎麦がなくなり次第終了）

【 定 休 日 】　月曜・火曜

【ひとり分の平均的な予算】昼　　　夜

【　予　約　】　不可

【クレジットカード】　不可

【　個　室　】　なし

【　席　数　】　18席

【駐　車　場】　なし

【　煙　草　】　全面禁煙

【アルコール】　ビール、日本酒、焼酎

【店のホームページ】　なし