玉椿(東京都台東区)粋に飲める蕎麦屋のシメ蕎麦
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蕎麦屋で“粋”に飲む――江戸中期から「花街」があった柳橋。最盛期には150人ほどの芸妓さんがいたそうです。その中心が今の柳橋一丁目あたり。近くには伊藤博文が利用したことで知られる代表的な料理屋「亀清楼」が現在も営業しています。
また、芸妓さんたちもお参りしたという小さな「篠塚稲荷神社」や、神田川沿いの船宿などがあり、歴史の交錯した地域――。そんな場所に「玉椿」さんはあります。通りの向かいにあるBELMONT HOTELが時代の流れを物語っているようです。
お店の外観は黒づくめで、小さく玉椿の看板が光っています。以前は暖簾がかかっていて、ランチもやっていた記憶がありますが、現在は夜のみの営業だそうです。暖簾もありませんでした。
店の中に入り、予約なしを伝えると、すぐに2階席へと案内されました。2階への階段は、右手にあるカウンターの後ろを通って進んだ先にありました。余計な広々感はなく、逆に落ち着いて呑める雰囲気です。
会社の同僚と種類豊富で美味しい肴をつまみながらビール、そば焼酎のそば湯割り、ウイスキーといただきました。お通しに蕎麦チップ(揚げ蕎麦)が出てきたり、つまみのメニューに「板わさ」や「そば屋のあて四品盛り」などがあるのを見ると、改めてここはそば屋だという思いを強く感じます。
おっと、これは蕎麦の食味レポートですから、“呑み”の詳細は割愛させていただきます。ただ、ここのそば湯割り、今まで飲んできたどこのお店のものよりも美味しかったことだけは付け加えておきます。また、「さばくん」はお勧めです。
さて、ここからが本題。シメに食べる蕎麦です。蕎麦のメニューを見ると、「鴨と焼き葱温蕎麦」を筆頭に、「鴨だしつけ汁蕎麦」「京かけ」など、京風のものが並びます。しかし、「紀州梅だれ蕎麦」や「冷汁ごまねぎ温玉蕎麦」、「辛み大根おろし蕎麦」などもあり、京都に偏っているわけでもなさそうです。
私が注文したのは、「もり」(690円)。「せいろ」(790円)もありましたが、このお店では、海苔が乗っているのをせいろと呼んでいるようです。ほかに、呑んだ後にちょうど良い「仕上げ蕎麦」(590円)なんてメニューもありました(連れはそれを頼みましたが、もりよりも量が少なめでした)。
ざるに盛られた蕎麦は、きれいに麺の流れを作ってこんもりと盛られたもの。蕎麦の山に鼻を近づけます。ほのかに蕎麦の良い香りがします。しっかりと水切りもされているようです。表面のつやもサラッとしていてヌメリ感はありません。
2、3本をそのまま啜ります。冷たく締められた麺がのどを通るときに香りも立ってきます。好きな食感に笑顔になってしまう私がいます。美味しいそばです!
つゆも、出汁の香りはほのかです。舐めてみると結構甘め。酸味はありません。醤油の味が押さえられて、塩味と甘味が一体化している感じ。どちらかと言えばあまり甘くないつゆが好きな私ですが、この店の甘いつゆは蕎麦の味を邪魔せず、いや、より一層引き立てるように思います。後味もスッキリしていて、喉に蕎麦の香りだけが残ります。薬味のねぎがたっぷり付いているのもうれしいです。ねぎとわさびを蕎麦に乗せて啜ります。やはり、口の中には蕎麦自体の旨さが残ります。
蕎麦湯は鉄瓶に入ってきました。白濁したドロッとしたタイプです。最後の一滴まで飲み干しました。お代わりしたくなるほどおいしいそば湯でした。
色々食べて飲んで満足しましたが、お勘定を済ませ、お店を出た後に口を突いて出た言葉は、「あー、旨い蕎麦を食った」という一言でした。甘いつゆもいいものですね。
ごちそうさまでした。
(レポート提出/木曽馬ジョージ)
【店名】玉椿
【読み(ひらがな)】たまつばき
【 店の電話番号 】 050-5869-3616
【 住 所 】 東京都台東区柳橋1-6-1
【 アクセス 】 浅草橋駅から徒歩3~5分
【 営業時間 】 (月~土)17:00~23:00
【 定 休 日 】 日曜、祝日
【ひとり分の平均的な予算】昼 夜
【 予 約 】 可
【クレジットカード】 可
【 個 室 】 あり
【 席 数 】 50席(うちカウンター10席、座敷3部屋)
【駐 車 場】 なし
【 煙 草 】 分煙(カウンターは禁煙)
【アルコール】 ビール、日本酒、焼酎、ウイスキー他
【店のホームページ】 なし