蕎麦喰い処やまや(岩手県盛岡市)「ダッタンそば」が食べられる蕎麦屋
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私が盛岡に出張する際には、必ず行くことにしている蕎麦屋があります。そのお店は「蕎麦喰い処やまや」さんです。この日、ようやく仕事を終え、職場の親しい友人を誘って、車でそのお気に入りの蕎麦屋に行きました。
徒歩で行くなら、盛岡駅南口から北上川が流れる不来方橋(こずかた)を渡って直進し、岩手女子高校を過ぎて、少し歩いた左手にあります。駅から徒歩13分ぐらいです。
お店の外観は、鮮やかな山吹色の建物なので、わかりやすいです。駐車場もあります。ちょうど空いていましたので、宮城ナンバーの車の隣に止めました。
白い暖簾をくぐり中に入ると、内装は茶色の木の板の壁になっており、純和風な雰囲気を醸し出しています。通路を挟んで、左側に木製のテーブル席があり、その右側は厨房になっています。さらに通路を奥に進むと、左側に座敷があり、木製のテーブルと座布団が敷かれています。その右側にはそば打ち場があります。
昼間は満員で行列ができるほど繁盛しているお店なのです。なので、混雑を避けるため夕方に行きましたので、予想通り空いていました。手前のテーブル席には2組、奥の座敷には1組の先客がいましたが、ほんとラッキーでした。
店員さんに奥の座敷に案内され座布団に座ると、すぐに店員さんが冷たいお水とお手拭きを持ってきてくれました。
この店のメニューは「挽き包み」(385円)、「さらしな」(385円)、「だったん」(385円)の3種類のそばが楽しめ、価格もリーズナブルなのです。食べ方は、もり(せいろ)と、かけ(つゆ入り、冷・温)のどちらかを選びます。
「挽き包み」は、甘皮付きの蕎麦の実を丸ごと挽いた全層粉とも言われるもので、ほんのり甘皮の甘さを感じられます。
「さらしな」は、石臼で挽くと柔らかい為、最初に隙間から出てくることから「一番粉」とも呼ばれます。実の中心部の純白のそばで、でんぷん質なのでほんのり甘さを感じます。江戸時代には、白色はもともと権威を象徴する色ということで高級な蕎麦として大名たちに食されていたということから御前そばとも呼ばれています。もちろん、庶民にも次第に広まったのは言うまでもありません。この店の「さらしなのもり」をつゆにつけて食べたのですが、抜群に相性がよく、長くて細いので、のど越しがいいです。
「だったん」は、薄黄色でほんのり苦みを感じられるそばです。ダッタンそばは、中国の雲南省、四川省の山岳地帯が発祥と言われており、なんと自家受粉の蕎麦なのです。古来「苦そば」と呼ばれ、食用に適さないものとされてきたそうですが、近年では北海道や北陸地方で栽培されるようになりました。ダッタンそばには、なんと普通そばに含まれる約100倍のルチンが含まれています。ルチンは、ポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用があり、血圧や血糖値の改善に効果があるようです。また、ビタミンCの吸収を促進する効果もあるので、女性が気になるシミやシワにも効果があるとも言われています。
この店の「だったんのもり」をつゆにつけて食べたのですが、長くて細いので、のど越しがいいです。つゆがほんのり甘いので、苦みも感じず、高血圧の方にはいいかもしれませんね。
ちょうど打ち場で職人さんが蕎麦を切っているところを見学することができました。そばをリズム良く切る音が心地よく、あっという間に細く長い麺が出来上がりました。このお店のそばはすべて手打ちで、つなぎの割合が分からなかったので、職人さんにお聞きしましたら、二八蕎麦ということでした。
私は毎回3種類のもりをすべて完食するのですが、今回私たちは「挽き包みのもり」と「ゲソ天」(220円)を注文しました。
5分後に店員さんが、注文した品を持ってきてくれました。せいろに載った「挽き包み」の麵の長さは細くて長いです。3本棒で打ったそばなので、江戸蕎麦といった感じです。ホシがあり、表面は瑞々しいです。量はお代わりしたくなるような量です。
この店の蕎麦は、店の裏手に「賢治の清水」と言われる宮沢賢治が現在の岩手大学農学部に在学中に使用していた井戸水があり、その水を毎朝くみ上げて、そばを打っているそうです。薬味は、山葵とネギが添えられています。追加用のつゆの徳利も添えられています。つゆは、カツオだしが効いており、ほんのり甘めなのが抜群にそばにマッチしています。
山葵を麺に乗せて、つゆをつけて一気にズズッとそばを口に入れました。そばが冷たいのと、麺がツルツルしているのと細麺なので、のど越しが良く、つゆの甘さも口の中に広がって美味しいです。そばは、すぐに食べないといけない食べ物なので、あとは、この繰り返しで一気に平らげました。
天ぷらは、関西では天つゆとか塩で食べますが、このお店では、たれをかけて食べます。ウスターソースをマイルドにした感じの味です。食べてみると意外と旨いのです。なので、この店では、必ずこのたれをかけて食べることにしています。「ゲソ天」は、サクッと揚がっていて、ゲソはプリプリで、安価でしかも抜群に美味しいです。
そばを食べ終わる前に、店員さんが蕎麦湯を持ってきてくれました。半透明な蕎麦湯でした。追加用のつゆを蕎麦猪口に入れて、そこに蕎麦湯を注ぎ込みました。つゆの甘味とマッチして、さっぱりとした味わいでした。
勘定を済ませて、お店を出た後、友人が「また来年来ましょうね。」と誘ってくれました。
私の今回の採点ですが、「賢治の清水」で手打ちしているそばであること。リーズナブルな価格で、「挽き包み」、「さらしな」、「だったん」の3種類のそばが食べられること。その他、ゲソ天、お店の雰囲気、店員さんの接客等を総合して、100点満点のお店でした。
(レポート提出/入り番茶)
【 店 名 】蕎麦喰い処やまや(岩手県盛岡市)
【 読 み (ひらがな)】そばくいどころ やまや
【 店の電話番号 】019-652-0808
【 住 所 】岩手県盛岡市大沢川原1-1-16
【 アクセス 】盛岡駅(南口)から約13分
【 営業時間 】11:00~20:00(L.O)/20:30閉店
蕎麦がなくなり次第終了の場合あり
【 定 休 日 】日曜・祝日
【ひとり分の平均的な予算】1,000円程度
【 予 約 】予約可
【クレジットカード】不可
【 個 室 】なし
【 席 数 】32席(座敷24席)
【駐 車 場】 あり
【 煙 草 】禁煙
【アルコール】あり
【店のホームページ】なし