千利庵 (山形県白鷹町) 口肥えたそば好きが足繋く通う名店
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ドライブがてら、美味しい蕎麦屋に行けると楽しみにする友人がいる。私の影響で蕎麦を食べるようになった。車を出してくれるが、売却するため今回が最後となるのが残念。
ゴールデンウィーク、真っ青な青空に出発。ご近所で山形の蕎麦屋に詳しい方から紹介された、隠れ蕎麦屋の里と呼ばれる白鷹町「千里庵」を目指した。
事前情報では、県内の名店として高い。しかもメニューは十割で「もりそば」のみ。ほとんどの蕎麦屋は豊富なメニューが多い中、一本勝負が気になる。
早めに到着。田畑が広がる町の静かな場所にあり、まだ開店前で誰もいない。場所を確認したので、喉がかわきコンビニまで散策する。
戻ると既にお客さんが並んでいた。入り口に広がる、大きな蕎麦屋の暖簾はインパクトがある。暖簾は不思議だ。暖簾がなければ普通の民家だから、効果が楽しい。店はもと養蚕農家だった家を改修。玄関の隣にはガラス張りの蕎麦打ちスペースがあり、見学しながら待てる。
順番がきて中に案内された。お座敷で、年期のある家具に蕎麦猪口など飾られている。
部屋のコーナーには山形名酒出羽桜の案内や、蕎麦本が置かれ、待つ間に色々楽しめる。店主の実家が酒店なので、山形の名酒が並んでいる。蕎麦前に飲んだらどんなにか美味しいだろう。
襖には、たしかに「もりそば」だけ書かれたメニューが貼ってあった。この1つに蕎麦の全てが集約されているのだと、店主の自信が伝わる。店主は独学で蕎麦を学び、奥さんがつゆを担当している。
さほど待たずに、蕎麦が出てきた。ざるに盛られた蕎麦、そばつゆ、ゆで卵、漬物。シンプルだが、このお盆に、全く飾らず蕎麦の世界がバランスよくあることに感動した。薬味はネギとわさびである。
まず蕎麦をそのままで。山形は田舎そばが主役的だが、店主が惚れ込んだという、会津山都産のそば粉で在来種。山形で十割を食べられるのも嬉しい。
細打ちでつながり具合が素晴らしく、十割独特なボソボソ感がない。整った麺線は喉ごしがよく、大地を感じる風味で噛むと甘い。このまま食べ続けても良いほど美味しい。
何でも現地の雪室で貯蔵したそばを、仕入れる前日に挽いてもらい、常に新そばのような鮮度の挽きたてを使っているそうだ。
次にそばつゆを飲む。主張すぎずそばとのバランスを考えた辛汁だ。アゴ(飛魚)、鰹節、昆布の出汁を使っており、出汁が効いている。
味付け卵は、そばつゆで煮込んだであろう。しっかり染み込んで、蕎麦のお供にいい。案外、そば前に味付け卵も合うかもと思った。漬物は大根である。大根はもともと江戸蕎麦の汁に使われていたから、漬物にも向いている。
蕎麦は追加ができる。実に美味しい蕎麦に出会い、「もり一枚追加」と頼みたかったが、もう一軒行くため断念した。
最後の〆は蕎麦湯。そばつゆがおいしいと当然蕎麦湯もおいしい。
奥さんにお店を紹介されたいきさつや、蕎麦の感動を伝え、会計を済ませた。
蕎麦粉は蕎麦王国、会津山都。美味しい理由に納得。ぜひ新蕎麦の時期にまた訪問したいと思った。もちろん「ざる一枚追加」で。
何も飾らず気取らず。そこに蕎麦があれば十分なのだ。それを千利庵は教えてくれた蕎麦のドライブたった。
(レポート提出/28sobayu)
【 店 名 】千里庵
【 読 み (ひらがな)】せんりあん
【 店の電話番号 】0238-87-2087
【 住 所 】山形県千白鷹町広野1656
【 アクセス 】
国道287号線、信号(ファミマあり)の先300mの左に看板あり、左折し、道なりの右側。のぼりあり。蚕桑駅から2,082m
【 営業時間 】
11;00~14:00
【 定 休 日 】
水曜日(祝日の場合は翌日)
【ひとり分の平均的な予算】昼760円 もりそば追加540円
【 予 約 】なし
【クレジットカード】不明
【 個 室 】なし
【 席 数 】 30席 お座敷
【駐 車 場】有り10台
【 煙 草 】全席禁煙
【アルコール】日本酒あり
【店のホームページ】http://www.dewa.or.jp/gami/home.htm
【地図にリンク】https://goo.gl/maps/M45ppXZmHxxXwA1D9