川上庵 (長野県軽井沢町) 旧軽井沢銀座で賑わうお蕎麦屋さん | 日本蕎麦保存会jp そば研究家片山虎之介の蕎麦情報マガジン

川上庵　(長野県　軽井沢町)　旧軽井沢銀座で賑わうお蕎麦屋さん

関東甲信越のおいしいそば屋

７月24日、日中は気温も上昇するとの予報、今日は一日中何も予定が無く、暑さが苦手な私はあまり遠出する気持ちがない中、そうだ、久しぶりに旧軽井沢銀座でも散策してみようと家を出た。

梅雨明け間近の軽井沢は夏休みも重なり平日にもかかわらず家族連れや観光客などで街中にも人が増え、だんだんと賑わいがでてきた。

そんな軽井沢は旧軽井沢銀座という目抜き通りの入り口に佇むモダンな雰囲気の建物が本日ご紹介するお蕎麦屋さん。

「川上庵」は軽井沢と東京にそれぞれ２店舗ずつ構える、夜は一品料理とお酒も充実したお洒落な店舗である。

お昼時にはお店の外まで入店待ちのお客様が居るほどいつも賑わっているという印象のお店で、今日はふとここの胡桃ダレの蕎麦が急に食べたくなって久しぶりに行ってみようと思ったのだが、混雑時を避けてお昼としては少し遅めの2時半位に伺った。

店内に入ると細い通路が奥に伸びていてその通路に入客待ちの方の為の椅子が並べられており、またお会計もそこで済ますような配置になっている。

奥に進んでいくと広い空間があり、黒色で統一された大小様々なテーブルと椅子が配置されている。全体的にウッド調な店内で天井は高く、白い壁と壁いっぱいに広がる引き戸式の大きなガラスが目を引く。ガラス越しにはテラス席も用意され、店内からは軽井沢を行き交う人々の姿と、テラス席でくつろぐ優雅な光景が見渡せ、いかにも軽井沢といった風景が広がっている。ガラスから店内に入ってくる日の光も爽やかな気持ちになるし、それとは一転、奥には証明の明るさを落とした、カウンターやワインセラーなどが置かれた落ち着いた雰囲気の空間があったりと非常に洒落た店内。2時半という時間にもかかわらず、席の７、８割は埋まっていて観光客、女性グループ、家族連れと入客が途絶えることなく賑わっている。

店員も比較的若いスタッフが多く、スタイリッシュな制服がお店の雰囲気とマッチしている。

冷たいそば茶が運ばれてきて早速一口頂く。香ばしい香りと冷たく冷やされた喉越しがこの暑さにはたまらなく嬉しい。

メニューに目を通すが、迷うことなく今日はクルミだれせいろを注文する。

ふとお隣を伺って観ると、ここは大盛りという概念はなく、二段せいろ、三段せいろという形で注文するのだが、それぞれせいろを２段、３段と上に重ねて、運んでくるスタイル。

さて、軽井沢の近く、東御市は胡桃の産地として有名で、ごまダレは全国各地にあると思うが、胡桃となれば、いかにも信州ならではといったメニュー。

５分ほど待って運ばれてきた蕎麦は、蕎麦が盛り付けられた四角い器と、胡桃だれの入った器の二つのみというシンプルさ。薬味は必要なく、これまたシンプルに胡桃と蕎麦のハーモニーを楽しむといった趣。

粗挽きの二八で打たれた蕎麦は細め、整った麺線がまっすぐといった印象で表面にもツヤがあり、整然と盛られた佇まい。

まずは蕎麦だけでいただく。口に含むあたりから蕎麦の香りがしてくる。

もっちりとしていて、喉越しというよりもしっかり噛んで味を楽しむといった趣がある。

次にお待ちかねの胡桃だれについて。見た目は胡麻だれのようなまろやかで淡い色合い。すりごまのようなつぶつぶ感もある。

まずはお蕎麦を付けないでそれだけで味わってみる。甘さは控えめでだしの旨味とツブツブ食感が面白い。

濃度が適度にあり、蕎麦をつけてみると麺いっぱいに胡桃だれがまとわりついて少量の麺でも体積が何倍にも増し、蕎麦をすするというよりは、どろっと頬張っていただく。麺の弾力のあるもっちりさと胡桃の濃厚さ。これが相まって口内中に胡桃の香りが広がり、たとえは難しいが、もっちりした胡桃味のお饅頭を口いっぱいに頬張っているような幸せが広がっている。良い意味で蕎麦とは別の食べ物をいただいているような感じにもなる。

ちょどお蕎麦を食べ終えた時点でタイミング良く蕎麦湯が運ばれてきた。

たれ自体に甘みが少ない分、非常にあっさりといただけた。

侮るなかれ胡桃、ゴマだれもいいが、なかなか味わえない胡桃だれ蕎麦を頂ける店舗が近くにある事に幸せを噛みしめる一日であった。

（レポート提出／４連覇）

【　店　名　】川上庵

【　読　み　(ひらがな)】かわかみあん

【店の電話番号】0267-42-0009

【　住　所　】〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢６−１０

【アクセス】長野新幹線「軽井沢駅」より徒歩１５分

【営業時間】11:00〜22：00（ラストオーダー21：00）

10：45〜23：00（ラストオーダー22：00）繁期

【定休日】なし