そばを食べて温暖化を止めましょう。魚資源を守るクラウドファンディングにご協力ください、蕎麦研究家・片山虎之介

日本蕎麦保存会
進行する温暖化と、まき網などによる乱獲が原因で、日本の魚の漁獲量が激減しています。
ずいぶん前から問題視されていたのですが、なかなか対策がたてられないうちに、状況はどんどん悪化しています。

 

公が動かないなら自分たちでやるしかないと、東北の漁師さんたちのグループFisherman japan (フィッシャーマン ジャパン)が、魚資源を守るための活動を行うために、クラウドファンディングを始めました。

 

日本蕎麦保存会は、この活動を応援しています。
魚資源を守るということは、鰹節など、出汁に欠かせない食材を守るという意味で、蕎麦の食文化を守ることでもあるのですから。

 

今、魚資源に本当の危機が訪れています。
あなたの助けが、必要です。お力添えください。

 

外食するとき、私は、ほとんど蕎麦を食べます。

気候変動が進行する今、温暖化を少しでも防止するために、自分に何ができるだろうかと考えたとき、まず、蕎麦を食べることから始めようと思いました。

小さなことの積み重ねが、私たちの未来を守ります。

魚と海と地球の危機について、ひとりでも多くの方が認識して、一歩でも前進してくださることを願っています。

 

私が初めて地球温暖化の危機を認識したのは、今から40年以上も前。レイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」を読んだことがきっかけでした。彼女の著書や、その活動を知ることで、温暖化についても知りました。

レイチェル・カーソンの著書の中では、特に「われらをめぐる海」に、大きな影響を受けました。

私が写真家を志した動機のひとつが、この本であったことは、間違いありません。

 

「われらをめぐる海」の中の「地球の温度調節」という章の中で、レイチェル・カーソンは、1912年にアメリカ合衆国は、海流のコースを人間の力で変えることで、アメリカ北部の本土の冬の気候を温暖なものにしようという計画が検討されていたということを書いています。

 

幸いにも、この無謀な計画には、予算がつかなかったようですが、それから108年後の2020年現在、人類は、地球の仕組みに手を加えて、自然の構造を根本的に変えてしまうという事業を、恐ろしいスピードで進めていることになります。

この事業を進めるための予算は、私たちの「無関心」です。

遅すぎることはありません。

今、できることを、ひとつずつ、しましょう。

この事業を推進する片棒をかつぐのがいやだったら、やりましょう。

 

私は、写真を撮り、記事を書く仕事についてからは、できるだけ、自然環境の保護の問題についても書くようにしてきました。

2008年には、雑誌「自遊人」で、「鮨よさらば」という特集を書かせていただきました。

「自遊人」は、当時、とても先鋭的な雑誌で、一般の商業誌では掲載されないような内容の記事も、意義のあるものなら、書かせてくれたのです。

 

もうずいぶん長いあいだ、いろいろな記事を書いてきましたが、いつも思うのは、人に理解してもらうことの難しさです。

書いても書いても、わかってくれない人が、たくさんいます。

でも、やっぱり伝え続けようと思います。

前を向いて進む人が私は好きです。

蕎麦好き、魚好きの皆さん、同じ思いを抱く人と手を取り合って、一歩ずつ進んでいきましょう。

 

(クラウドファンディングのサイトは、こちらです)

https://camp-fire.jp/projects/229119/preview?token=3kkljnii

 

(クラウドファンディングの一環として、絵本「さかなが いなくなっちゃうって?」のイラストを描いた、セキ・ウサコさんのブログもご覧ください。こちらからもクラウドファンディングにリンクしています)

●セキ・ウサコさんのブログにリンクします

 

そば研究家、そば食主義者・片山虎之介

 

(質問をいただきました)

「そばの汁を作るのに、魚はどうしても必要なものなのでしょうか」と、スウェーデンにお住まいの方から質問をいただきました。

「野菜や肉からも、おいしい出汁はとれますが、それではだめなのでしょうか?」とのお問い合わせでしたので、お返事を差し上げました。

蕎麦の場合は、一般の日本料理とはまったく異なる出汁の使い方をします。
普通、出汁として抽出した液体の中には、「旨み」の要素と同時に、「呈味(ていみ)」の要素が含まれます。
呈味とは、まだあまり語られることが少ないのですが、要するに、ものの「味」のことです。

日本料理における基本の出汁の使い方は、旨み、香りとともに、この呈味も重要な役割をにないます。

しかし、蕎麦つゆ、特に辛汁と呼ばれる、冷たいそばをつける蕎麦つゆの出汁の場合は、この呈味を殺して使うことが重要なのです。
味を殺して、旨み成分だけを生かす。これが蕎麦つゆ独特の出汁の使い方です。

これは、他の食品から抽出する出汁では、真似ができません。
鰹節の中でも、何度も繰り返しカビ付けをして手をかけた「本枯節(ほんがれぶし)」という極上の鰹節でのみ、この作業が可能になります。
非常にデリケートな、おいしさなのです。
ですから、日本蕎麦の食文化を守るためには、どうしても魚が必要になるのです。

片山虎之介

 

【そばを食べて、温暖化を止めましょう】

 

(1)

蕎麦は環境に負担をかけない食べ物です

蕎麦は、吸肥力(肥料を吸う力)が強く、痩せた土地のわずかな栄養でも、効率良く吸収して、美味しい実をつける作物です。

農薬や化学肥料は使わずに、栽培できます。

 

(2)

蕎麦は、栄養バランスに優れた食べ物です

蕎麦は、卵や牛乳に匹敵するほど、栄養バランスの良い食べ物です。

人間にとって重要な必須アミノ酸が豊富で、ビタミンがバランス良く含まれています。

微量でも健康維持にかかせないミネラルも多く、完全栄養食に近い優れた食品なのです。

そのため、昔から、飢饉などの食料不足のときには、人々は蕎麦を食べ、命をつないできました。

 

(3)

蕎麦は、人の健康を守る食べ物です

蕎麦には、ポリフェノールの一種ルチンを始め、健康を維持する栄養素が、ふんだんに含まれています。

ルチンには、生活習慣病を予防する効果があります。中国雲南省の少数民族イ族は、主食にそばを食べているため、ポリフェノールの健康効果で、生活習慣病がありません。

蕎麦に豊富に含まれる食物繊維は便通を改善し、お腹から不要なものを、きれいさっぱり捨ててくれることから、一年の汚れを落とす「年越しそば」として、日本人の生活の中で大切にされてきました。

 

(4)

蕎麦は、茹でるだけで食べられる、環境に優しい食べ物です

シンプルに素材の味を楽しむ日本の食文化の中で、蕎麦が昔から愛されてきたのは、必要最小限のエネルギーで食べられて、しかも美味しいということが、大きな理由になっているのです。

 

 

 

 

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