そば処 いい友 (茨城県常陸太田市)  隠れた名店で味わえるのは週末のみ!山奥の高台で栽培から拘りぬいた手打ちそばを堪能する

茨城県のおいしいそば屋

水戸の偕楽園では3月末迄、開園180年を記念してチームラボのアートプロジェクト「チームラボ偕楽園光の祭」が開催されている。光の祭というタイトルからも分かるようにこのインスタレーションは闇が広がり始める18:00からの開場である。あいにくこの日は夕方から雨の予報。事前に日時指定のチケットを購入してある為、どうか小雨でありますようにと祈る気持ちで家を出る。 時間は十分にあるので先ずはこの時期氷瀑しているかもしれない袋田の滝を見がてらいつもの温泉で疲れた身体を癒し、美味しい蕎麦を食べてから水戸へ戻ろうと既に心は決まっている。

さて今日は何処で蕎麦を頂こうか?悩ましいところではあるのだが、今回は数ある蕎麦屋の中でも以前から特に気になっていたそば処「いい友」さんを訪れる事にする。この店では蕎麦を自家栽培し手刈り、天日干しで玄そばを作り石臼で自家製粉して手打ちするという拘りぬいた外二の常陸秋蕎麦を週末のみ提供しているのである。そればかりか使う小麦粉も自家栽培した小麦を自家製粉した物を使用(言うまでもなく饂飩メニューも充実)するというのだから、手間暇かけたその蕎麦の味が気になるのは蕎麦好きならずとも至極当然の事と言わざるを得ない。必然的に数量は限られるため蕎麦は売り切り次第終了。日曜日のみ数量限定で十割蕎麦の提供もあるようであるが倍率の高さからこれもなかなかありつけない逸品と聞き及ぶ。

袋田の滝から急いで向かうも到着したのは12:00少し前。案の定先陣の客で店は満席。外では3組の客が順番待ちしている。駐車場も県内外からの車でいっぱいであるが運良く一台抜けた直後のタイミングで滑り込む事に成功、取り敢えずまだ蕎麦は有るようなので入口の紙に名前を書いて暫しの間待機する。

店主の本業が大工という事もあり、店は木造の一軒家とログハウスを融合した様な手作りの温もりが感じられる佇まいである。今は更地で何も無いが目の前に広がる畑はそのうちきっと可憐な白い蕎麦の花で埋め尽くされ美しい里山の風景に彩を添える事であろう。


程なくして店に案内されるが此処は入り口で靴を脱いで上がる形式を取っている。幸い殆どの客が捌けた第二陣での案内という事もありゆっくりと靴を脱いで上がれたが、混雑時では出る客と入る客が狭い入り口で脱着するのには混乱を極める事であろう。(下駄箱も小さく数も少ないのでブーツでの訪問は熟考されたし)

採光を考えて増築された部屋は明るく狭いながらもアットホームな雰囲気に包まれている。余計な装飾は無く木の持つ本来の美しさと味わいを肌で感じられる室礼である。丸太の椅子や所々飴色に変色した深みのある一枚板のテーブルなど大工の本領発揮というところであろうか。

スタッフは全員背中に「いい友」の文字を染め抜いた揃いの黄色いTシャツを着用。小さな子供連れの客には先にテーブル席へ案内し座敷席が空いたら移動の打診をするなど常に客への目配りを欠かさない接客も好感が持てる。唯一釜前を担当する店主だけが黒いTシャツで作業しているがその真剣な背中からは圧倒的な存在感とオーラが放たれ、さながら黒帯の風格とでも言える雰囲気を漂よわせている。 店内BGMは流れておらず、蕎麦を啜る音と客の雑談に紛れて時折聞こえるメロディ時計の可愛らしい音楽が微かな癒しを与えてくれる。


この時期提供される常陸秋蕎麦は既に新蕎麦に切り替わっている。三品蕎麦やごっちゃ蕎麦など興味深い数あるメニューの中から今回は王道の「野菜天ぷらもりそば」を注文する。先ずは温かいお茶と共にサービスの「そばがき」が運ばれて来る。このそばがきも無くなり次第終了するらしいので、遅くに到着したにも関わらずありつけたという事は本当にラッキーであった。顔を近づけると薄く引いた温かい出汁と蕎麦の良い香りがふわっと立ちのぼり、滑らかでありながらもっちりとした食感と共にするっと喉を通り抜ける感覚に驚かされる。とても美味しい!何て上品で美味しいそばがきなのであろう。経験上そばがきが美味しい蕎麦屋の蕎麦は間違いなく美味しいという事は承知している。此処に店主の揺るぎない自信が垣間見える。なので否が応でも次に運ばれて来るであろう蕎麦への期待感は増すばかりである。


運ばれてきた蕎麦は普通盛りだというのにかなりの大盛り。(この店ではプラス300円で大盛にも出来るらしいが果たして大盛はどれ程の量なのだろうか?)白みかかった薄緑の細麺の中には赤茶の星と所々黒い星も確認出来る。十割で無いにも関わらず蕎麦の香りも良く立っている。すっぱり切れて程よい噛み応えと滑らかな喉越しのこの蕎麦は断然、塩が合う。本わさびと刻みネギが付いてくるのだが、天麩羅に付いて来た粗目の塩をちょっと舐めてから蕎麦を食べるとふわっと蕎麦の香りが口の中に広がってもう止まらない美味さなのである。

つゆは出汁が効いた円やかな味わいで中辛口。醤油が前に出ない程度のしょっぱさは十割で無くても香り立つ繊細なこの外二蕎麦の香りを少しでも邪魔しないように考えられたものなのだろうか…?手繰る量にもよるのだろうが、本わさびを蕎麦にちょんと乗せてつゆにどっぷり潜らせて食べるのもひと味違った味わいで美味しいものである。


天麩羅の具材は竹輪、春菊、人参、舞茸、干し芋、板蕎麦、林檎でこれら野菜も自家菜園で栽培された物だそう。林檎の産地ならではの林檎の天麩羅は食味経験があるのだが、今回初めて干し芋の天麩羅と板蕎麦の天麩羅にお目に掛かった。板蕎麦の天麩羅、美味しかったなぁ~!干し芋はそのままで、と個人的には思うのだが。甘みが倍増されてねっとりとした食感は好みが分かれるところかもしれない。


最後にあっさりした蕎麦湯に刻みネギと本わさびを加えて〆のスープを作り残しておいた塩味が効いた田舎風の自家製たくあんをちびりちびりと齧りながら蕎麦湯を飲み干す。美味しい蕎麦を頂いた後にのみ感じる至福のひと時である。これでお値段1000円とは何という安さであろう!このクオリティでこの値段!?もう感謝しかない。次回は日曜日を狙って是非とも十割蕎麦でごっちゃ蕎麦や自慢の饂飩なども頂いてみたいものである。蕎麦の花が咲く季節に是非とも足を運んで頂きたいお勧めの店である。

(レポート 玄)

【 店の電話番号 】
090-1537-2804
【 住 所 】
茨城県常陸太田市高貫町1446-4
【 アクセス 】

【 営業時間 】
金・土・日曜日の11:00~14:00
【 定 休 日 】
月~木曜日
【ひとり分の平均的な予算】
約1000円~2000円
【 予 約 】
不可
【クレジットカード】
不可(電子マネー不可)
【 個 室 】

【 席 数 】
58席(4人掛けテーブルが4つ、6人掛けテーブルが4つ、座敷に6人掛けテーブルが2つ)
【駐 車 場】
有(約16~18台)
【 煙 草 】
禁煙
【アルコール】
日本酒、生ビール、瓶ビール、ノンアルコールビール
【店のホームページ】
http://www.seizanso.co.jp/iitomo/

 

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