なごみ

開田高原には「開田早生(かいだわせ)」という名前の、希少品種の蕎麦があります。『そば処 まつば』さんも、その開田早生を使って自家製粉でそばを打っていらっしゃいます。

信州木曽、開田高原は、長野県の南信地域にあります。
長野県と岐阜県の県境に、標高3,067メートルの霊峰、御嶽山(おんたけさん)がそびえています。
その長野県側に広がる大きな裾野の、標高1,100mを超える高原が開田高原です。
真夏でも平均気温18℃と涼しく、爽やかな気候が楽しめます。

開田高原は「霧下(きりした)地域」とも呼ばれます。「霧下」とは、標高が高くて、朝に発生する朝霧の下に位置する場所と言う意味です。霧下地域は、そば栽培に適した気候で、おいしいそばが育つ、そば栽培には理想的な環境として、そば好きの皆さんに定評があります。

夏が涼しい分、真冬は過酷で、最低気温マイナス20℃に迫る日もあります。冬は一日を通して氷点下という事は珍しくないのです。

開田高原へ車で行く場合、国道19号線「木曽大橋」の交差点から361号線に入り、高山方面に向けて約20分登ると「新地蔵トンネル」があります。そこを抜けると美しい白樺林が拡がり、これが開田高原のエントランスとなります。
トンネルから約7分、361号線の道沿いに『そば処 まつば』があります。

『そば処 まつば』の看板が見えたら右折、30台駐車可能な広い駐車場が広がります。

 

お店の玄関を入ると、少し広いスぺ―スがあります。
団体のお客様の受入用でしょうか。個人的には悪天候の時など、ありがたいスペースになります。ここで一息ついて、いざ店内へ。

比較的こぢんまりとして落ち着く店内には、テーブル席と、お座敷があります。
メニューを見て、ざるも食べたかったのですが、この日は寒かったので、木曽の郷土食「すんき」の入った、温かい「すんきそば」を注文しました。
ちなみに「すんき」とは、赤かぶの葉を、塩を一切使わないで「すんき種」を加えて乳酸発酵させた漬物のことです。木曽地方の伝統的な郷土食で、最近の健康志向の中で、改めて脚光を浴びている漬物です。
あたたかいそばに入れると、つゆの味が飛躍的に美味しくなります。すんきにふくまれる乳酸菌がコハク酸ナトリウムに変化するとのこと。これは貝汁に含まれる旨味成分と同じだそうです。すんきをご飯に乗せて食べると、何杯もおかわりしたくなるほど、おいしい漬物です。

 

すんき蕎麦が深いどんぶりに入って運ばれてきました。
ネギもたっぷり添えられています。見るからに美味しそうで、待ちきれず、撮影もそこそこに、いただきました。
まずはつゆを味見します。期待通り、これはおいしい! 旨味たっぷりです。
そばの食感は、通常、温かいかけそばとして食べると、柔らかすぎることが多いものなので、正直言って、あまり期待していなかったのですが、細目のそばは、ほどの良い優しい柔らかさで、ツルツルすするのにちょうど良い食感でした。サラッと食べられる感じが、とてもおいしいのです。

日ごろ、そばの本当の美味しさは、ざるで食してこそわかるものだと思っていたのですが、そんなこと関係ないと思わせるほど食感が良いのです。
添えられたスプーンで、すんきを最後まですくって、完食しました。
ああ、この味は、ぜひまた食べたいです。次にこの店に来るのが、今から楽しみです。

使っているそば粉は、すんきの味に合わせて、お店で自家製粉したものです。玄蕎麦から挽き、殻を取り除いた挽きぐるみのそば粉。ところどころにホシが飛んで、すんきの旨味にまけないそばの香りが、自家製粉ならではの魅力です。
もちろん使っている玄そばは「開田早生(かいだわせ)」だそうです。
開田早生は、開田高原でのみ栽培される高冷地品種で、小粒ながら香りが高いと評されている希少品種です。開田高原では、コロナ前はそば祭りも開催され、一度食べてみたいという蕎麦通の方が、全国から数千人規模で訪れていました。

木曽・開田高原には、それぞれに特徴のある蕎麦屋さんがたくさんあります。
蕎麦屋さんの数だけ違う顔を見せてくれる開田高原は、何度行っても飽きない場所です。

(レポート/なごみ)

 

【 店の電話番号 】
 0264-42-3100

【 住 所 】
 長野県木曽郡木曽町開田高原末川3904-1

【 アクセス 】
  公共機関:JR木曽福島駅下車➡おんたけ交通バス
  お 車 :国道19号『木曽大橋』交差点高山方面へ
       国道361号線 高山方面へ

【 営業時間 】
  11:00〜17:00

【 定 休 日 】
  月曜日

【ひとり分の平均的な予算】   
 昼 1000円

【駐 車 場】 
   30台

【店のホームページ】
無し

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