蕎麦懐石 無庵(東京都立川市)名店 無庵にて学んだこと。

今回が2回目の訪問となる立川の名店無庵。蕎麦はもちろんのこと、自家農場で育てた旬の野菜は、本当に美味しく手抜きや妥協をしない姿勢に感銘を受けました。

6月下旬、普段の年ならまだ梅雨真っ只中の東京だが、異常気象なのだろうか早々と梅雨明け宣言の出された東京は連日30度を超える暑さだ。午後1時過ぎ東京郊外の立川駅に降り立つと、アスファルトからの照り返しでムッとする暑さだった。

蕎麦懐石 無庵は2回目の訪問となるので、大体の場所は把握しているので、迷わず行くことが出来たが、初めての時は迷いに迷った。立川駅北口の繁華街から、静かな住宅街へと足を踏み入れさらに細い路地に入ると、丁寧に打ち水のされた場所があり、そこに無庵が佇んでいる。この丁寧な打ち水を見ただけで、どの様な仕事をされるお店かがわかる気がした。

外観は趣きのある古民家風の作りで、格子窓と生成の暖簾が見事にマッチしていて、これから始まる無庵の世界にワクワクしながら入口の戸を開けた。中に入ると、これまた綺麗に打ち水された石畳となっており、正面に受付、右手にはお座敷が見える。大変、人気のあるお店で予約なしでは入れないこともある様なので、予約をして行った。

受付のスタッフの方は私が入店するなり、「〇〇様ですね、お待ちしておりました。」と、予約帳も見ずに名前を記憶されていて、しっかりとスタッフトレーニングされた店であることに感激した。

店内は木をふんだんに使った作りとなっていて壁は生成り色を基調としており、土壁には瓦が埋め込まれている。聞けば、もともとこのお店はオーナーさんの住宅だったそうで、平成元年に改装して古民家風の蕎麦屋としてオープンされたとのこと、先述の壁に埋め込まれた瓦は、その時の住宅のものだそうだ。

店内には静かなジャズが流れている。店の中ほどには、大きなスピーカーと今やなかなかお目にかかることが出来ない真空管アンプがある。ここで完全に無庵の世界観に引き込まれる。

店の中央には、大テーブルがあり、それを取り囲む様に4人掛けテーブルと2人掛けテーブルが並ぶ。
私は店内が見渡せる2人掛けの席へと案内された。デーブルも椅子も焦げ茶色を基調とした木製で大変落ち着く。

花番さんが4人、息つく暇なく動き回っているが、雰囲気をこわすことのないように、忙しいながらも、落ち着いて冷静に対応しているのがよくわかる。

お客様は、ランチタイムを少し外した午後1時半と言うこともありセレブ風の主婦層が多かった。また、個室では接待の様な感じで、懐石(会席)料理が運ばれていた。

更めてメニューを見ると、「お昼の蕎麦遊膳3800円」とある。大変興味深かったので、次回はこれを注文したいとおもいました。

以前、お伺いした時は、まだ「インスタグラム」などなかった無かった時代で確か、このお店も店内の撮影を禁止しておられたと記憶していたが、時代がかわったのであろう、皆、出でくる料理の写真を撮ってから
料理を味わっていた。今回、私は「撮影禁止」だと思い込みカメラを持って行かなかった。また、スマートフォンは充電切れ間近で、写真撮影することが出来ずに残念だったが、その分、目に焼き付けて記憶に留めることにした。

蕎麦のメニュー自体は非常に少ない。個人的にはそれで良いと思っているので共感できた。
せいろ840円 ひきぐるみ 1050円 辛味大根おろしそば 1260円、つけとろせいろ 1350円 天ぷらせいろ 2100円
鴨せいろ 1780円 鴨南蛮 1780円 と、こんなところでした。

冷酒には力を入れられており、利き酒師の資格を持つオーナーの娘さんが季節に合わせて、料理に最高の酒を選んでくれる。私は淡麗辛口とだけリクエストを出した。運ばれて来たのは、滋賀の「松の司」だったが、今まで呑んだ日本酒の中で1番美味しいと感じた。

酒の味については、ここでは割愛させて頂くが、まるで高級フランス料理店でソムリエにワインを選んでもらった感じが、そのまま蕎麦屋になった様だ。

メニューは、筆で手書きをしたものであった。その時に採れた野菜とオーナーさんの気分ででメニューが変わるので、よく変更となるため手書きにしているそうだ。クセのある筆字がとても素晴らしかったが、後でお伺いしたところオーナーの娘さんが書かれているとこのとでした。

(注文したメニュー)①天ぷらせいろ②かけそば

① 天ぷらせいろ 蕎麦は丸抜きと玄そばを合わせたものも自家製粉し二八で打ったもので、多くの粉を30目の篩でふるった粒状感のある田舎蕎麦風の仕上がりだった。天ぷらは口に運んだ瞬間に、胡麻の香ばし香りがサクッと揚がっていて、実に美味しい。花も適度に咲き上品な仕上がりとなっている。

② かけそば はメニューには載ってなかったが、お願いしたら快く作って頂けた。汁が一番出汁にほんの少しの返しを混ぜた様な感じで、鰹の風味の効いたもので、まるで高級料亭のお吸い物に蕎麦が入っているかの様な感じであった。

(麺について)幸運にも食後にオーナーさんのお話をお聞きすることが出来た。

蕎麦は八ヶ岳山麓の契約栽培農家の信濃1号と茨城県産の常陸秋そばをミックスして完全自家製しているとのこと。ポイントは乾燥状態だそうで、温度、湿度のコントロールを徹底して、1年を通して風味を損なわない様にしている様です。そのために、ご自宅には大きな貯蔵庫も完備されているとか、、、。

粒状感のある見た目の蕎麦は、多くを30目でふるい、蕎麦として繋がるギリギリを狙っているそうです。そうすることで香りがあり、甘い蕎麦が出来上がることを熱く語って下さいました。

麺は1.2mm×1mm角ほどの細麺でホシが多く、まるで機械で切ったかのごとく正確に切られてました。

蕎麦は枠が塗りのザルに盛られて、2つ山になって提供されました。

天ぷらは、これまたオーナーさんのこだわりのある器に盛られて提供されました。無庵ファームの野菜(万願寺、ズッキーニ、そら豆)は、どれも新鮮で、油切れも良く美味しかったです。

もり汁は、一茶庵ご出身のお店らしく100パーセントかつお節から採った出汁とすこし辛めの返しとが絶妙なバランスでマッチしてました。

②かけそば 温かい蕎麦も冷たい蕎麦も同じ麺を使用している様子でした。手打ちの温かい蕎麦は、どうしてもすぐに柔らかくなり過ぎてしまう傾向があると思いますが、このお店の蕎麦もやはり、すぐに柔らかくなり過ぎてしまいました。汁の味は前述の通り、大変上品な味でした。

とくに、こちらのお店の蕎麦は、基本的に冷たい蕎麦で食べることを中心に考えて作られている様なので、粒状感のある、麺として繋がるギリギリの状態で打たれたものは、口の中に入れた途端にホロホロと崩れて、喉に達する前に麺の形状が崩れてしまいました。温かいものは温かく、とにかく手抜きをしない姿勢に感動しました。

蕎麦は徹底した温湿度管理の完全自家製粉。野菜は自家農場の無農薬(物によっては低農薬)。蔵元をまわり、厳選した日本酒。スタッフの気配り。どれを、とっても非の打ち所のない素晴らしいお店でした。

オーナーさんからは、とにかく「手を抜かない」というアドバイスを頂きました。

(レポート提出/はやおき)

【店名】蕎麦懐石 無庵(東京都立川市)

【読み(ひらがな)】そばかいせき むあん

【 店の電話番号 】042-524-0512

【 住 所 】立川市曙町1-28-5

【 アクセス 】立川駅北口 徒歩8分

【 営業時間 】11時半から14時半
17時半から21時

【 定 休 日 】日曜日 第1月曜日

【ひとり分の平均的な予算】昼1500円 夜 3000円

【 予 約 】可

【クレジットカード】可

【 個 室 】あり

【 席 数 】 36席

【駐 車 場】 なし

【 煙 草 】禁煙

【アルコール】あり

【地図にリンク】https://goo.gl/maps/1o54w6gxASfi7E6i8

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