夕霧そば瓢亭(大阪府大阪市)熱盛の「柚子きりそば」が食べられる老舗の蕎麦屋  

大阪府のおいしいそば屋

お店は、昭和27年(1952年)創業で69年の歴史がある老舗です。地下鉄谷町線「東梅田」駅7番出口を出て、徒歩5分で到着します。近松門左衛門の人形浄瑠璃「曽根崎心中」でお馴染みのお初天神(露天神社)の東隣りの裏路地にあります。

ひっそりと佇むお店の前には、「浪花名物夕霧そば瓢亭」と書かれた屋根付きの行灯があり、灯が点いていました。歌舞伎の「廓(くるわ)文章吉田屋」に登場する遊女夕霧太夫は美人で色気があり、気立てが良く申し分のない女性です。彼女に因んで、色と香りのある柚子きりそばを「夕霧そば」としたそうです。

暖簾の上には、「IGS」と書かれたプラスチック製の丸い看板が設置されています。「IGS(国際親善店)」は、1964年に開催された東京オリンピックをきっかけに創設された制度で、海外からの観光客に対して「このお店の商品、価格、サービスは優秀です。」と商工会議所が保証するお店だそうです。

薄紫の暖簾をくぐり、右側の格子戸を開けて店内に入ると、女性店員さんが迎えてくれました。女性店員さんに「1人です。」と伝えると、奥のテーブル席に案内してくれました。艶のあるテーブルは年季が入っています。赤色の内壁と天吊りの八方行灯が照らす明るさは、昭和初期にタイムスリップしたかのような色気のある雰囲気を醸し出していました。平日の13時30分を過ぎていましたので、幸運にも空いていました。すぐに、冷たいお茶とおしぼり、割り箸を持ってきてくれました。

このお店の名物は「夕霧そば」です。蕎麦の中心部分の更科粉と繋ぎ粉に擦り下ろした柚子の表皮を練りこんだ変わり蕎麦です。柚子は、徳島県や高知県などから、毎年11月から12月にかけて仕入れており、下ろし金を使って手作業で擦り下ろしています。そばは、信州産の石臼挽きです。生そばは、手もみと機械がけの独自の手法で打たれています。

「温かいそばと温かいだし」と「冷たいそばと冷たいだし」があります。お椀に予め入っている黄身にだしを加えて、かき混ぜておき、それにそばをつけて食べます。数量の単位は「斤(きん)」で、「1斤」(1,300円)と「1斤半」(1,700円)があります。天ぷら付もあります。「夕霧天ざる」(2,250円)は、冷たい夕霧そばと天ぷらのセットで、だしには玉子が入っていません。おしながきには、つゆではなく、「だし(出汁)」という表記になっています。

おしながきにある「お初そば」(1,250円)は、更科粉に梅肉と紫蘇酢を練りこんだそばに、梅ソースが掛けられており、短冊に切った長芋や大葉の千切り、刻み海苔が載っています。さっぱりした味わいの冷たいそばです。食前酒としての梅酒も付いています。

即決で「温かい夕霧そば」を1斤注文しました。5分後に、赤い漆塗りの蒸篭に入った熱盛の柚子きりを蓋付きで運んでくれました。女性店員さんが蓋を開けてくれました。すると、湯気が立ち昇ると同時に柚子の爽やかな香りが鼻を突き抜けていきました。夕霧大夫の香りなのでしょうか。ネギと山葵が添えられていました。

徳利に入った出汁は熱いですから気を付けてください。私は我慢できます。この熱いのが好きなのです。黄身の入ったお椀に濃い口醤油色の熱い出汁を加えてかき混ぜます。

麺は柚子で薄黄色になっており、中太打ちで長くて熱いです。量は普通です。出汁は黄身のまろやかさと鰹のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果の伝統の旨味です。出汁につけて食べると、中太打ち麺なので、舌にほんのり甘い出汁の味がまったりと浸透していき、コシのない柔らかくて温かい食感が癖になる美味しさなのです。温かいうちに食べないといけないと思い、一気に平らげました。

食べ終わる少し前にタイミングよく、女性店員さんが蕎麦湯と爪楊枝を持ってきてくれました。お椀の出汁は、食べ終わってもたっぷり残っています。そこへ熱い蕎麦湯を注ぐのですが、玉子が半熟になるのが、たまらないです。蕎麦湯は流行りの半透明です。半熟の玉子と甘い出汁が程よく薄められて、絶妙なのです。

折角なので、人気の「カレーそば」(1,100円)も注文しました。すぐに、紙製のエプロンとティッシュの箱を持ってきてくれました。カレーはエプロンを付けずに食べるこだわりがあるので、付けませんでした。

5分後に、店員さんが注文した品を運んできてくれました。大きな皿に並粉で打たれた細長いそばにさらさら系のカレーが掛けられていますが、昔ながらの蕎麦屋のカレーでもないのです。一口サイズに切られた海老と青ネギがアクセントになっています。福神漬けも載せてあります。麺は、もちろん均一の太さです。スプーンと氷水が入ったコップがセットされていました。

スパイスの効いたカレーにはコクがあり、蕎麦との相性も意外といいのです。激辛好きの私にはあまり辛さは感じませんでした。そばが食べ終わり、残っているカレーのルーをきれいにスプーンを使って平らげた後は、口の中がやっぱりヒリヒリしました。お勘定を終えて、お店を出た際に、「次は、お初そばも挑戦してみよう。」と思いました。

私の今回の採点ですが、名物の夕霧そばと人気のカレーそばの味に加え、店員さんの接客応対、お店の雰囲気等を総合して、大満足のお店でした。

(レポート提出/入り番茶)

【 店 名 】夕霧そば瓢亭(大阪府大阪市)

【 読 み (ひらがな)】ゆうぎりそばひょうてい

【 店の電話番号 】06-6311-5041

【 住 所 】大阪府大阪市北区曽根崎2-2-7

【 アクセス 】地下鉄谷町線「東梅田」駅7番出口より南へ徒歩5分

【 営業時間 】月~金 11:00~23:00

土   11:00~22:30

【 定 休 日 】日曜日、祝日

【ひとり分の平均的な予算】2,000円以内

【 予 約 】可

【クレジットカード】可

【 個 室 】なし

【 席 数 】50席

【駐 車 場】なし

【 煙 草 】禁煙

【アルコール】あり

【店のホームページ】http://www.hyoutei-soba.com/

【地図にリンク】https://goo.gl/maps/wkst8hpMp4Nejbqk6

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