そばの基礎知識と雑学
そばが切れる原因と対策
そばを打ったのに、短く切れてしまうことは、初心者に限らず、ベテランの皆さんにも多い悩みです。失敗の原因は、以下のことが考えられます。
【原因】そば粉の質が悪い。実は、最も多いのが、この理由です。
【対策】小麦粉のつなぎを入れて打っている低価格のそば粉には、つながりにくいものがあります。良質なそば粉を選びましょう。ただし、値段は高くても、さらしな系のそば粉は、つながりにくいものがありますので、注意してください。
【原因】打つ前に、そば粉と、つなぎの小麦粉を、よく混ぜなかった。
【対策】最初に、そば粉と、つなぎの小麦粉をビニール袋に入れ、よく振ります。こうすると二種類の粉がよく混ざります。また、粗挽きのそば粉を、打つ前に40メッシュぐらいのふるいにかけると、細かい粉と粗い粉が分離してしまうことがあり、その後よく混ぜないと、切れる原因になるので注意してください。
【原因】そば粉に加える水の量が少なすぎた。
【対策】初めて打つ粉は、事前に少量の粉でテスト打ちをして、加水量を決めると良いでしょう。200gぐらいで打ってみると、適正な加水量が判断できます。
【原因】そばを打つのに時間がかかり過ぎると、生地の乾燥が進んで切れてしまう。
【対策】加水量は適正でも、打つ人の体温や、作業時間の長短で、生地の状態は大きく変わります。なるべく時間をかけずに、作業を進めることは、おいしいそばを打つためにはとても重要です。
【原因】そば粉と水を合わせたあとの、こね方が雑だったため、部分的に水が行き渡らずに、その部分から切れた。
【対策】要するに、水まわしがうまくできていないということです。加水の仕方から、木鉢の中での手の動かし方など、再検討しなければならないことが、いろいろ、あります。基本に戻って、木鉢の作業をていねいに行ってください。
【原因】そばを麺棒でのすときに、生地の扱いが雑だったため、生地に細かいひび割れがたくさんできて、そこから切れた。
【対策】そばの生地は、小麦粉を入れると、つながりは良くなるのですが、だからといって取り扱いが乱暴だと、目に見えない細かい傷がたくさん入ります。これが細い麺に切ったあとで、そばが切れる原因になります。
【原因】特に生地の縁の部分の取り扱いが乱暴だと、ひびができて、切れやすく、裂けやすくなる。
【対策】麺棒に生地を巻く際、生地のふちを乱暴に扱っていませんか。この部分に傷をつけないようにすることが、そば打ちの上達の秘訣です。薄いふちほど、ていねいに扱ってください。切れは、この部分から始まります。
【原因】そばを包丁で切った後、取り扱いが乱暴だと、麺にひびができて切れやすくなる。
【対策】打ち粉を落とすために、乱暴に振ったり、力を入れてつかんだりすると、麺に細かな傷が無数に入ります。細い麺は特に、優しく扱ってください。
⚪︎また、茹でたり、洗ったりする段階にも、そばが切れる原因があります。
【原因】そばを湯に入れてから、すぐに菜箸などでいじると、麺が切れてしまう。
【対策】熱湯に生そばを投入するときは、一度に入れると麺どうしがくっつきやすいので、バラバラと分散させながら入れます。湯に入ると麺は熱でアルファ化が進みますので、10から20秒はそのままにしておきます。そのあと菜箸で、そばをほぐすように軽く動かしてください。沸騰した湯が対流を起こしている状態なら、特にさわる必要はありません。
【原因】茹でたそばを鍋の湯の中からあげるとき、すくい網などで、何度も掻き回すと、その段階で切れてしまう。
【対策】すくいやすいザルを使って手際よく茹でるのは「腕」のうちです。そばにストレスをかけないように、細心の注意を払って茹でてください。
【原因】流水で洗うとき、乱暴に扱うと切れてしまう。
【対策】この段階で切れる心配は少ないのですが、十割そばなどは、乱暴に扱わないように注意してください。
お心当たりがあるでしょうか。次に打つときは、以上の点に気をつけてください。
解説=日本蕎麦保存会/片山虎之介
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