手打そば風來蕎（神奈川県横浜市）落ち着いた住宅街にある人気の名店で味わう手打ちそば。

手打そば　風來蕎（神奈川県横浜市）落ち着いた住宅街にある人気の名店で味わう手打ちそば。

By: Reporter
2018年12月19日
カテゴリー: 関東地方のおいしいそば屋, 関東甲信越のおいしいそば屋, 神奈川県のおいしいそば屋, おいしいそば屋の食べ歩きレポート, そば好き伝統の味

関東地方のおいしいそば屋

2012年に東急田園都市線　たまプラーザ駅から徒歩10分位にあった”手打ちそば風來蕎”に行ったことがあった。当時よりミシュラン1つ星の名店であり、より最寄り駅に近い場所に2014年に移転した事を知り食味体験に訪れた。閑静な住宅街が広がる道沿いにある3階建ての建物の1階がお店となっている。窓を覆うように大名竹の植栽が施され、入口には清楚な白い暖簾と素朴な味わいのある看板が配置してある。親しみを感じる外観と入口は印象的だった。

混んでいないと思われる平日の午前の開店時刻に訪れた。植栽の隙間から窓越しに見える店内には既に席に着いている客の姿があった。暖簾を潜った後、店内の引き戸のドアー前には二、三人座れる長椅子があり年配の男女の二人連れが待っていた。ほんの少しの間、外で待っていると前のお客さんが店内に案内されて入って行った。一人で待合の席でそばの雑誌などを眺めようと思っていたところ、店内から和服姿のお店の方がドアーを開け中に案内してくれた。すぐ近くの９人のカウンター席の端を希望した。迎え入れてくれる入口での応対が好印象に思えた。

カウンター席の前にある衝立越しに少し奥の横長のカウンター窓から部分的に厨房が覗けるようになっていた。数人の料理人が役割分担しながら忙しく働いている光景が見えた。客室窓側には障子風の格子と下部はガラス窓になっており和風に統一された落ち着きのある内装である。店内全席は見渡せない配置だったが２人、４人、６人席等の多くのテーブル席があった。年配の女性のグループ、若い女性の二人グループ、二人連れの男女など、各々のグループが話を弾ませることが出来るような店内の雰囲気があり、昼時のそばの食味を楽しみに来ているようだった。満員ではない時間帯のせいかゆっくり食味体験できそうな気がして落ち着くことが出来た。

全体のメニューに加えて、お店のこだわりの紹介や期間限定のメニューなどに目を通した。数の多いメニューの中から“せいろそば”と季節の食材を選ぼうと考え“鱧の天ぷら　せいろ“を注文した。蕎麦屋の定番の一品料理のメニュー、各種コースメニューや創作料理メニュー等がありグループでの食事など賑わいのある幅広い顧客層が訪れるお店のようである。メニューには蕎麦は無農薬で栽培された常陸秋蕎麦他、撰りすぐりの国内産の蕎麦を毎朝石臼にて自家製粉していることや、だしは朝削りした鹿児島産本枯節と天然羅臼白昆布でとっていることなどこだわり記載されている。

程なくそばが給仕されてきた。横長の四角のせいろに盛られたそばの量は適量に見えた。他のお店では少ない量の印象を受けることが多いが私にとっては昼食には丁度良いと思えた。珍しい鱧の天ぷらは少量に思えたが味を楽しむには満足出来た。

細打ちのそばは白くはない通常の淡い茶色。ほしは目立つほどの大きさの粒はなく均一な色合いだった。十分水切りされた光沢のあるそばを口に含むと甘い味がふわーっと広がった。のどごしはつるつるしなくまたそばの硬さを感じではなかった。噛めばこしがあり歯ごたえを感じた。そばの味が存分に楽しめるお店の伝統である九割そばの特徴かと思えた。メニューに紹介された常陸秋蕎麦と思えるが最後までおいしい味が続くそばで満足のいく味だった。

眺めて楽しい陶器類で給仕された器には少量とも思えるねぎ、わさびの薬味があった。小さな徳利からそばつゆをそば猪口に注いだ。そばつゆは濃厚で少し甘い味だった。そばつゆと細打ちのそばは両方の美味しさが加わっていい組み合わせに思えた。そば湯は小さめの湯桶で提供され、少し濃いめだった。

最後にそばの実と思われるものが入った柔らかく甘く味付けされたそばがきをトッピングした“そばのわらび餅”がデザートに出された。お茶をすすりながらこれもまた美味しく味わうことが出来た。

今回の食味体験では時間をかけてじっくり味わったそばが最後まで美味しく感じられたことである。数多くの魅力的なメニューに興味は尽きないが、今回はそばが主役の有意義な食べ歩き食味体験となった。