飯田橋にある病院の帰り、お昼時になったので、いつも気になっていた蕎麦屋に飛び込みました。「金升」（かねます）さんという手打蕎麦屋で、お店の前の歩道に行灯看板がポツリと置いてあります（よそ見をしながら歩いていると蹴飛ばしそう）。

赤い暖簾をくぐってガラス戸の入口を開けると、右側に通路が続いており客席がひらけます。店内は店前の道路に対して直方体でなく、右奥に向かって広がっていく感じの変形をしています。窓際が総ガラスなので明るく、木枠の障子や書の額など和風モダンな内装です。壁の天井からぶら下がった角柱型照明のオレンジ光も落ち着きます。

花番さんに席まで案内され、早速メニューを確認。「冷たいもの」の中で「とろろ」に並んで「磯とろろ（1026円）」というメニューが目に付きました。生海苔ならば食べてみたいと思い、花番さんにお聞きしたところ、これは“めかぶ”をプラスしたものだとのこと。う～ん、残念。結局「野菜天ぷらせいろ（1404円）」を注文しました（値段はすべて税抜値段で設定してあるようで、表示値段では端数が出ています）。お茶のお代わりや注文時、配膳時など、お客に対する気配りが感じられて気持ちの良い花番さんでした。

目の前に置かれた食膳の様子。そば猪口とは別に蕎麦徳利があります。先日、テレビの番組に片山先生がご出演され、美味しい蕎麦を食べさせるお店の見分け方の一つに、“蕎麦つゆをつゆ徳利で提供するお店”を挙げておられました。このお店、まずはOKです。ただ、今回は天ぷらがありますから、これで薬味に大根おろしが付いていたら、ますます食べる前のテンションを高められたでしょうが‥‥。

さて、まずは麺からいきます。太さは極細から太いものまであり、手切り感が強くそろっていません。ょっと茹で加減が心配になりました。2、3本を手繰って啜ります。蕎麦の香りは結構しっかりと感じます。水切れが良く、啜り込めませんでしたので、歯ごたえと味を確認。コシがありながら、蕎麦独特のポクポクと歯で切れる感じは嫌いではありません。モチモチ感はあまり感じませんでした。ただ、やはり極細に切られているものは、口の中で邪魔になる感じがあります。もう少し太さをそろえたほうがよりおいしく感じるのでは‥‥と思いました。噛むと、蕎麦の香りが口の中にはじけ、甘味が追いかけてきます。麺自体はかなり私好みで、美味しいと思いました。

蕎麦猪口につゆを注いで鼻を近づけます。よく、“かつお節ぃーっ！”っていうつゆがあります。（好みもありますが）私は蕎麦とつゆの一体感が好きなので、そういうつゆは日光の手前、イマイチ（今市）です。金升さんのつゆは、ほのかな出汁の香りと醤油の香りが程よいものでした。味は甘さ控えめで塩味もきつくありませんが、醤油の味の“カド”がいい感じで舌に残ります。私としては結構気に入りました。蕎麦の先を浸して啜ると、蕎麦の香りを残しながら一気にのどまで到達。のど越しもよろしいかと思います。わさびは辛み控えめで香りが強い。本わさび？かもしれません。

蕎麦湯は、食膳のあとすぐに運ばれてきましたが、急須タイプだったためか、最後まで熱々で楽しめました。そば湯は透明度の高いサラサラのものでしたが、つゆと混ぜると出汁の香りだけでなく、蕎麦の香り自体も立ち上り、美味しく飲むことができました。

最後に天ぷらについて。天ぷらの種は5種類（れんこん、茄子、さつまいも、かぼちゃ、いんげん）。お腹に溜まるタネが多いと思ったので、蕎麦と一緒に食べたのは茄子といんげんだけにしました。れんこん、さつまいも、かぼちゃは、蕎麦を食べ終わった後にいただきました。天ぷらはちょっと残念。衣のサクサク感は弱く、また、れんこん、さつまいも、かぼちゃは少し硬い感じでした。

再度このお店に行ったなら、私は「せいろ蕎麦」を頼むことに決めました。蕎麦自体はとても美味しいお店だと感じましたので。

（レポート提出/木曽馬ジョージ）

【店名】手打蕎麦 金升

【読み(ひらがな)】てうちそば　かねます

【 店の電話番号 】03-3237-3132

【　住　所　】東京都千代田区富士見２-７-１

【 アクセス 】JR飯田橋駅西口から２分、東京メトロ出口から3分

【 営業時間 】（月～金）11：30～15：00／17：30～21：00
（土）11：30～15：00／17：30～20：00

【 定 休 日 】日曜日、祝日

【ひとり分の平均的な予算】昼　　　夜

【　予　約　】

【クレジットカード】不可

【　個　室　】なし

【　席　数　】33席（カウンター７席／テーブル26席）

【駐　車　場】なし

【　煙　草　】喫煙コーナー別

【アルコール】ビール、日本酒、焼酎、ワインなど

【店のホームページ】

【地図にリンク】https://goo.gl/maps/LJBAAfxsvTp3PfkB8